【編集後記】
●地震・津波・原発事故と戦後最大の震災が東日本を襲いました。東京都港区にあるわが事務所も震度5強で、初めて経験する長く強烈な揺れに、思わず机の下にもぐり込みました。
この地震・津波による原発事故を受け、荻野晃也先生、武本和幸さんに急遽、原稿をお願いしました。荻野先生は、電磁波問題の日本における先駆け・第一人者ですが、地震による原発の安全性を問うた伊方原発訴訟の原告(住民)側特別弁護人でもあります。もし伊方訴訟に勝っていたならば? また先生の「(07年)柏崎刈羽原発の被災は最後の警告」との指摘が生かされていたならばと思うと、国や電力資本への怒りがこみ上げます。先生が上京された際、原稿の打ち合わせのため、わざわざ来所いただきましたが、「原発被害を受ける子どもたちのことを考えると涙が出てくるんですよ」としみじみ語っていらっしゃいました。荻野先生は、次号にも書いて下さるとのことです。
武本さんは、ご存知の通り、柏崎刈羽の反原発運動のリーダーです。地震の10日後、いわき市の運動仲間の支援のため被災現地に駆けつけたとのこと。その現地リポートを含め、この悪夢の二週間を振り返っていただきました。文中にある「40年余の反対運動を続けてきた者の一人として、力及ばずに今日の事態を招いたことを悔いている」との言葉には重いものを感じます。
●今月号では、執筆者の皆さまから、東日本大震災をめぐる問題をさまざまな視点から取り上げていただきました。森本さんのマンガは、ズバリ「明日なき世界、ついに原発安全神話°ー怖の崩壊」です。河辺先生の「国際政治の視点」では、原子力エネルギーと保守派イデオロギーとの相関関係が展開されています。柏井さんからは、反貧困集会に関連して被災地支援のあり方。鎌倉先生の「経済診断」のテーマはTPP問題ですが、TPPと原発震災に共通する「資本の論理による人間破壊」が鋭く追及されています。高根さん、中森さんの文章にもご注目下さい。
●5月は憲法月間です。昨年に引き続いて、高田健さんにご寄稿をお願いしました。山崎一三さんからは、社会保障・財政危機・消費税をどう考えるか。本誌における今後の議論の基礎に置きたいと考えています。
『進歩と改革』誌の前身である『社会主義』時代に編集長を務められた立山学さんが亡くなられ、松本さんから逝去を悼む文が寄せられました。立山さんは、私にとっては社青同の大先輩であり、青年時代から大変にお世話になってきました。心よりご冥福をお祈りいたします。(山内正紀)
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