【編集後記】
●福島第一原発の事故が終息しません。「日本の技術力はこんな程度なのか?それとも事故の実情が予想もできなかったような複雑な状況なのか?」と問いかけながら、荻野晃也先生が、前月号に続いて書いて下さいました。署名が嫌いと言われる先生がそれでも署名された菅首相宛ての提言書も紹介されています。現在の放射能汚染に注意を喚起し、幼児・妊婦への緊急対策を提言されたものですが、政府・マスコミ報道とはまったく違う放射能汚染の深刻さが示されています。
●森本清彦さんのマンガ・CROSS―EYeSは、「明日なき世界」シリーズで、今回は3頁の特別版です。2年前に亡くなった忌野清志郎(いまわのきよしろう)が歌った反原発ソングがテーマに取り上げられています。「原発、危ねえ、欲しくねえ」というこの歌、福島原発事故の後、にわかに注目を集めていることは朝日新聞でも紹介されましたが、森本さんはずっと以前から注目されていました。
山崎一三さんは、今回の原発事故を「第二の敗戦」ととらえて、「危機の時代」を招いた原発利益共同体を暴き、「希望の時代」へと転換する民主主義と市民の力の大事さを提起しています。長年、新潟の地で、反原発・脱原発の運動を展開されてきた山崎さんならではの鋭い提起となっていると思います。
福留先生の「マルクスと東北大地震」。意外な取り合わせのようですが、さに非ず。マルクスの「災害保険論」の紹介をもとに、先生の共同体関係論へと展開されています。
●大震災と原発事故で新聞紙面が埋め尽される中、国際面ではリビア問題が焦点化しています。今月は、このリビア問題に関し、河辺一郎先生と柴山健太郎さんの二つの論評が揃いました。
被災地を除く統一自治体選が終わり、東京と大阪の前半戦の選挙結果をレポートしていただきました。次号も各地から報告いただく予定です。
●「障碍者制度改革と政権交代」を連載中の栗川治さんが、第45回NHK障害福祉賞優秀賞を受賞されたことは1月号の編集後記でお知らせしました。この受賞作品を是非、読者に紹介したいと思い、NHK厚生文化事業団の了解を得て、掲載することができました。昨年亡くなられたお父さんとの葛藤から感謝へ至る思いが綴られているとともに、バリアフリーについての理解も深まります。連載はお休みです。
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