【編集後記】
●「T・S・エリオットという詩人を知っている?」博識な友人に聞かれました。「知らん、ゴメン。その方面にはとんと疎くて」。疎いのは文学だけではありませんが、エリオットの『荒地』という作品の中の詩「死者の埋葬」に「4月はいちばん残酷な月だ」という一節があり、これは有名とのこと。「緊急事態宣言」が発令された4月”を取り上げての問いかけでした。「宣言」は延長、「残酷な月」が続きます。皆さん、くれぐれもご注意下さい。やはり、手洗いが一番とのこと。
●今月は新型コロナ関連で、まず福留久大先生。故馬場宏二東大名誉教授の業績を論じる著作『現代世界経済』が〈新型コロナの襲撃によって露呈された現代経済の特徴を照射する〉ものとして取り上げられており、今後の動向を注視せねばなりません。
日本の新型コロナ感染対策で指摘されるのがPCR検査の少なさです。なぜなのか? 山崎一三さんがその闇”に論及。河辺一郎先生は本誌4月号の若者の安倍政権支持の〈変動〉に関連して現状を提示。危機管理対応能力等が鋭く分析され、理解が深まります。
●新連載が始まります。筆者はグラムシ研究の藤岡寛己先生。〈乱反射***文化・社会・政治評論〉とタイトルし幅広いテーマを論じて頂く予定で、初回はペシャワール会員である藤岡先生が中村哲さんという存在に寄り添い、その生涯を貫いた理念を鮮やかに浮かび上がらせています。高根英博さんのマンガはテーマが〈百年戦争物語)から〈戦後を審問する〉へ。全共闘世代には懐かしい忘れられた高橋和巳の登場ですが、高橋和巳も問われていると!
●渡辺好庸さんから前号に続く「資本論のすすめ」。資本主義の分析から未来社会へ、丁寧な論理が展開されています。「賃上げ不発 春闘転機」と新聞見出しにされた今年の春闘の総括は木庭健一さん。春闘はダメだったけど新型コロナ感染対策での労働者保護へ、連合はぜひぜひ奮闘を! (山内正紀)
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