【編集後記】
●緊急事態宣言が解除され、街中の飲食店に貼られた「臨時休業」の案内が「営業再開」へと替えられて、道行く人もかなり賑やかになりました。この1カ月半、私たちの活動は大きく制約されてきました。メーデー中央集会も5・3憲法集会もネット集会になり、沖縄の5月平和行進は中止(沖縄県議選は6月7日投票です)。いま検察庁法改正をストップしたSNSの役割が注目され、テレワークなどコロナ後にも続く社会の変容も指摘されています。第2次感染も心配されていますが、コロナ前のようにみんなが集い、話合い、行動し合うことは大事なことだと思います。
●さて今月号はいつもより多い80頁でお届けします。大作が揃いました。
山崎一三さんには、新型コロナ・パンデミックがもつ人類史的課題という大きなテーマに挑戦してもらいました。
難しい問題が大変に分かりやすく展開されています。
藤岡寛己先生の連載〈乱反射〉で取り上げられたのは、コロナ禍で再び記憶に甦ったカミュの小説『ペスト』で、これはタイムリーです。『ペスト』を批判的に読むことを通した現代社会批評にもなっていると思います。
新型コロナをめぐる政治動向に関して河辺一郎先生。〈安倍支持率〉を分析し、その支持率低下の一方で吉村大阪府知事への支持拡大に注目。日本リベラルの存在を問われ、これは心配です。
●福留久大先生からは、感染症問題の根幹が論述され、加えて安倍政権をとりまく諸問題を摘出して頂きました。
4月2日に喉頭・咽頭全摘手術を受けた浅野健一先生。同23日に退院され自宅で療養中ですが、その中でご寄稿頂きました。声帯を失なわれましたが、メディア批評は健在です。文中、日本のコロナ感染者拡大の要因は〈中国から入国制限をしなかったから〉との評価については、さまざまに議論があろうかと思います。
●鎌倉孝夫先生からは日本共産党の新綱領批判。新綱領では中国規定の変更が注目されていますが、先生は主にその未来社会論を掘り下げ、素朴唯物史観の克服を強調。これが肝だと思います。
金光男から韓国総選挙の分析。与党というより文在寅大統領の勝利、準連動型比例代表選の意味、正義党の苦闘など、丁寧な解説で鮮やかに特徴が浮かび上がっており感謝です。(山内正紀)
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