【編集後記】
●昨年の臨時国会では、菅政権の混迷が際立ちました。一方、連立離脱した社民党の存在感もいま一つ。そこで、社民党副幹事長・衆議院議員の中島隆利さんに、臨時国会から通常国会へ向け生活再建をめざす社民党の主張と取り組みについてインタビューしました。補正予算には介護・雇用創出策等で社民党の要求がかなり取り入れられていることを知っていただければと思います。1月の通常国会は、自民党などの抵抗で波乱含みですが、新年度予算案に対する社民党の対応も注目されます。
●山崎一三さんが、民主党の「政権漂流」の根底にある菅流「現実主義」外交を批判しつつ、我われの対抗戦略として「小国主義」と「アジア共同主義」について論及されています。豊富な読書量を基に、孫文や石橋湛山にも触れた本格的な展開となっており、社民党の外交政策にも触れられています。是非お読み下さい。
河辺先生の「国際政治の視点」は、武器輸出三原則について。民主党政権下での揺らぎを「愚かなことである」とされて、印象的です。
●昨年12月号に掲載した深海峯介さんの映画評論は「桜田門外ノ変」でした。大老・井伊直弼を暗殺したのは水戸志士でしたが、現代の水戸市で市議会議員を務めておられるのが玉造順一さんです。水戸学を引き継いでいるのか「創政弘道会」などという会派議員を相手に、政治倫理条例を制定するに至った苦闘の軌跡を実に生き生きと書いていただきました。大阪府や名古屋市のように自治体にもポピュリズム政治が拡散しているなか、玉造さんが言う「議員立法による議会改革」は、極めて重要な視点であり、きたる統一自治体選にも生かすべき観点です。
福留先生からは、「現代文明と過剰富裕化」について寄稿いただきました。小学・中学算数から人口・成長を測るということで計算式もあり、読みやすくするため一部横組みとしました。先生の強調点である過剰富裕化批判の視点から、菅政権の「新成長戦略」を捉え返すことも必要なことでしょう。
●春闘の季節です。と言っても、以前とは違い、春闘への国民的関心が大きく落ち込んでいるのは残念なことです。野尻和夫氏の主張は、若者が希望を持てる春闘に!。非正規労働者の賃上げを重視した連合にとっても正念場です。
格差拡大、地方の疲弊という現代日本にあって、映画評論「海炭市叙景」には、繁栄を失った地方都市(函館市)に生きる人々の誠実さ、しぶとさが描かれています。「この社会は間違いなく病んでいる」との深海さんの指摘に政治はどう応えるべきか。(山内正紀)
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