【編集後記】
●松本弘也さんの「編集五十年」が今月号で完結しました。23回にわたって書いていただきましたが、編集に携わってこられた松本さんの自分史であるとともに、三池の闘いなど戦後革新の歩みの貴重な歴史的証言・記録ともなっています。三池労組の組合員を父にもち、炭住で育ち、小学生の頃、60年の闘いに遭遇した女性読者(登校時にはいつも集会所から「がんばろう」の歌が聞こえ、まるで唱歌のように覚え歌ったとのことです)が、松本さんの文章を、子どもの頃の記憶を蘇らせつつ読んでいるとのすばらしい感想も寄せられました。この読者に限らず、「編集五十年」を、自らが生きてきた歴史に照らして読まれた方も多いことでしょう。今月号では、菅政権の現状を問いつつ、社民党と政策について提言いただいています。是非、今後にもご執筆をお願いしたいと願っています。
●各地の読者会にお邪魔をする度に、今の日本のマスコミはどうなっているのかとの声を聞きます。そうした時、浅野健一先生から「尖閣、南北砲撃戦など領土領海にかかわる日本のメディア報道の異常性について書きたい」との申し出で、これ幸い!とお願いしました。朝日新聞とNHKを中心に、15頁に及ぶメディアの現状批判です。
高木郁朗先生には、昨年6月号に「新しい労働社会と労組の課題―三池闘争五十年をふまえて」をテーマに書いていただきました。大変に好評で、またお願いして欲しいとの声が編集部に届いていました。今回は、菅首相の施政方針演説の評価を元に「雇用主流化と多段階セーフティネット」という日本社会に問われる課題を具体的に提起していただいています。
●鎌倉孝夫先生の「経済診断」は、今月は理論篇です。よく言われる「過剰生産―逆にいうと消費需要が、とくに労働者の個人的需要の不足―が恐慌、不況の原因という主張」を「批判的に検討する」という刺激的な内容で、先生主宰の資本論学習会の「進歩と改革誌上版」です。なかなか読み応え噛み応えのある内容で、これはNHK教育テレビで放映された「一週間de資本論」のようには簡単に行かないかも知れません。少々覚悟をもって、どうぞ積極的にチャレンジして下さい。
森本清彦さんのマンガ「CROSS―EYES」は、民主党政権に一本釣りされた与謝野氏と釣った菅首相への皮肉と風刺。この与謝野氏。麻生政権下の安心社会実現会議に北海道大学の宮本太郎教授を招いた張本人。その姿勢は良いとして、どう安心社会を実現するのか。そこらへんを「主張」で取り上げてみました。(山内正紀)
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