「進歩と改革」No.693号   --2009年9月号--

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■主張 政権交代を予測して民主党に圧力をかける米国
―「見張り番」、政権の「品質保証」役・社民党に力を


総選挙へのアピール                    渕上 貞雄

●資料 社民党マニフェスト

◆マンガ 8/30、本当に来るのか「清掃車!        森本 清彦

■国際政治の視点 密約と外務官僚             河辺 一郎

現場の経験から見た介護保険10年の問題点         内田 洵子

■鎌倉孝夫の経済診断〔理論篇〕 
景気上昇と労働者―資本に抵抗し、生活・人権擁護をめざす

「成長の限界」の経済(下)                菊地  董
―都市と農村の再構築をめざす視座

小沢一郎秘書逮捕事件その後                鎌田 明彦

大阪高裁が『週刊文春』の「セクハラ報道」報道を完全否定  山口 正紀
―浅野健一・同志社大学教授の報道被害控訴控訴審  

国鉄改革を超えて(3)                  春岡 耕造
―安全問題について

日教組第97回定期大会を振り返って            戸部  洋

編集五十年(9)                     松本 弘也
―社会タイムス社を退く

◆スポーツ時評 自己責任が増えてきた           中森 稔博

【編集後記】

総選挙の日程が決まり、この号が総選挙前の再集合となりました。そこで最後のアピールを渕上貞雄社民党副党首・選対委員長にお願いしました。自公政権の崩壊を予測したアメリカ当局の民主党へのシフトと社民党の役割は主張で――
 非核三原則のうち「持ち込ませず」は日本の当局自身によってずっと空文化されてきました。河辺一郎氏の「国際政治の視点」は密約公認の動き、密約当事者を最高裁判事にしてのインチキ裁判を暴き、今回の総選挙でも外交が問われないなら、日本は民主制は機能しないと問われています。

久しぶりに内田洵子さんから寄稿をいただきました。介護保険制度について、介護の現場で10年の中からの意見です。社会党は創設に積極的に議論に参加してきたものの、民主党との分裂で、制度を社会民主主義的に推進する力が分散してしまいました。「介護の社会化」が遠のいた現実の中で、どのような問題が出ているのか、福祉の見直しを問います。
 鎌倉孝夫先生の「経済診断」理論篇は景気底打ちが宣言される中で、労働者が景気論に一喜一憂していてよいのか、自力で生活を守る態度を忘れたらどうなるかの戒めが力説されます。

菊池董氏の「『成長の限界』の経済」の前号(上)で人類の歴史の中で、都市と農村の分離以後、農業と農村は従属的地位と犠牲を強いられてきたことが述べられました。(下)では、マネー資本主義の横行の下で、それは極限に達し、アメリカ農業には農村も集落も共同体もない、「農」の意義を無視して、効率性、コスト削減、つまり企業的利益だけが追及されています。未だに続くアメリカ万歳のなかで、日本農業は最終的に破壊されるのか、立ち直りの最後の機会をつかむのか、論点は6月号の石原健二「企業の農業全面参入と農地の全面土地商品化」にも共通するところがありますが、ご一読下さい。

「小沢一郎秘書逮捕事件その後」は5月号の「小沢一郎氏へのマスコミのバッシング」に続くもので、「政権交代」が大きく浮上するなかで、もはや過去のこととされそうですが、動揺する権力の下で、権力奉仕の恣意的な捜査だったのではないか、法律が本人には及ばない問題で一人の有力政治家を陥れたのではないか、マスコミは、その片棒を担いだのではないかとの疑いが残っています。その追求です。

本誌でメディア批判に健筆をふるっておられる浅野健一氏が、セクハラをしていたとの『週刊文春』の報道があり、浅野先生の学者生命にもかかわる問題でした。大阪高裁は判決は『週刊文春』側の全面敗北、セクハラ疑惑は完全否定されました。しかし、謝罪広告は認められず争いは最高裁へ。山口正紀氏にお願いしました。(松本)