【編集後記】
●麻生さんでは総選挙は闘えないという声が自民党の中にも高まり、この期に及んでも総選挙の日程が決まりません。この号が読者の手に届くころには、東京都議選も終り、見通しがついているか、断末魔の政争が起きているか、いずれにしても選挙による政権の移動が現実化しようとしています。
こうした情勢の下で、総選挙の中心課題と社民党の構えを社民党幹事長の重野安正氏にうかがいました。社民党は6月18日、全国連合常任幹事会で「連立政権への対応について」を決定しました。これも資料として掲載します。
●飛翔体打ち上げ(日本ではミサイルと報道)から核実験へ、日本の報道界は一犬吠えて万犬吠ゆるという感じで、その中にはトンデモナイ誤報もあり、国際的には、物笑いのタネになっているようです。朝野健一氏がその実態を明らかにします。拉致問題から右翼が騒ぎ、政府がそれに乗り、予算審議で弱いNHKが屈服、マスコミ全体が腰が抜けたというところでしょうか。テレビのワイドショーなどにニュースの話題を頼っているととんでもないことになりそうです。その中で保守系の人でもしっかりした判断をしている人もあると浅野氏が紹介―――。
河辺一郎氏の「国際政治の視点」はブッシュ政権でさえ朝鮮との対話を重視していたし、米下院では日本の対朝鮮姿勢について厳しい批判が展開されているとのこと、日本のメディアはこうした論議に目をふさいでいるようで、日本の前途のためにはこうした紹介はもっと必要。
●山崎一三氏の「戦後64年――何が問われているのか」は重要な論点が示されていると思います。山川均さんの戦後の民主革命の主体があまりにも弱かった戸の指摘は、今日の自民、民主の二大政党状況まで引きずられている問題です。山崎さんはふれておられませんが、山川さんは民主革命論の提起の際、占領軍の民主化政策はいずれ転換するというところまで見通して、そのときに備えて民主主義を守る主体を築こうとされていたことが思い出されます。
佐藤カヨ子さんの文章は身体障害を持つ、義務教育をうけられず、働いて生きてきたが、新たに若者を苦しめる政治、社会を告発します。
福留先生の「政府の貧困対策の貧困」は、阿部彩氏著『子どもの貧困――日本の不公平を考える』から、日本が貧困層に対し、社会福祉政策で与える以上に奪っているという驚くべき実態、欧米に比し全く水準以下ということを数字をもって明らかにしています。
●春岡耕造氏の「国鉄改革を超えて」は2回目、「国鉄改革」の弱点である貨物会社と三島会社の経営問題をとりあげます。苛酷な条件を押しつけられた貨物と三島ですが、がんばっていることがわかります。そして国鉄を食い物にした政治がまだ改まっていないのが、整備新幹線の促進要求、全く懲りない政治介入です。
菊池恷≠フ「『成長の限界』の経済」(上)は早くに原稿をいただきながら、いつも原稿があふれて、掲載が遅くなりすみません。今日の政治、経済のなかで疎外される農業、その原因は何かを解明しようとする意欲作と思います。(松本)
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