「進歩と改革」No.691号   --2009年7月号--

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■主張 鳩山民主党の発足をめぐって

総選挙前の国会審議―安保・外交問題を中心に         辻元 清美

09年度補正予算案のポイントと問題点           横田 昌三

■国際政治の視点 「国益論」                河辺 一郎

施行62周年 日本国憲法をめぐる政治状況         鈴木  智

日米の謀議で覆った砂川事件「伊達判決」          土屋源太郎

朝鮮の「ミサイル発射」捏造で軍拡煽るメディアの犯罪(中) 浅野 健一

国鉄改革を超えて(1)―分割・民営化後の経営状況      春岡 耕造

■鎌倉孝夫の経済診断〔分析篇〕
グリーン・ニューディールのもたらすもの―“緑”を喰いものにする資本     

◆マンガ 「フン、また痛い目食らいてえのか、オメエラ!」 森本 清彦

なんら問題解明されない中で運転再開―刈羽原発7号機    武本 和幸

ワークライフバランス実現のために(下)           平木 雅己
―今だからこそ勤労者の意識改革を

◆スポーツ時評 スポーツ時評 今年の巨人は少し違う    中森 稔博

【編集後記】

昨年10月号から半年ぶりに辻元清美代議士に取材しました。補正予算審議に見る麻生首相の、選挙目当てのムチャクチャなバラマキ、沖縄の米海兵隊削減のまやかしと、グアム基地強化への日本の税金の献上、政権移動に備えての対米約束の固定化と改憲準備の先取りなど許せない数々が明らかにされています。
 辻元さんにもふれていただいた補正予算案(成立)そのものについて、社民党政審の横田事務局長にポイントと問題点を解説していただきました。辻元さんの話とあわせて読んでいただくとなおよくわかるとおもいます。

河辺一郎氏の「国際政治の視点」、今月は「国益論」です。日本の国会では「国益」という言葉が異常に多く、肯定的に使われているようです。環境、人権など国境をこえた価値観が重視されるようになった今の時代に、日本の危うさが感じられ、唯一、この言葉を校庭的に使わない社民党の存在が貴重に思えます。
 鈴木智氏の「施行62周年 日本国憲法をめぐる政治状況」はタイトル通りの内容ですが、要領よくまとめられていて警戒を要する問題を含め、状況の記録として、意味があるかと存じます。

土屋源太郎氏の「日米の謀議で覆った砂川事件『伊達判決』」は砂川基地拡張反対闘争にからんで日米安保条約は憲法違反とする50年前の伊達判決が、高裁をとばして、いきなり最高裁で覆された裏には駐日米大使による介入と圧力があったことが、米の文書公開からわかり、日本政府にも文書の公開を求める運動を代表するものです。今も意味のある問題です。執筆者の土屋氏は砂川闘争当時の東京都学連の委員長で裁判被告の一人。事件は裁判よりさらに数年前、被告7人のうち1人はすでに物故され、70台も半ばをすぎた方々が立ち上がるのは大変なことでしょう。学生時代は過激なことを言っても、そのようなことは忘れるとの批判が多いなか、尊敬されることではないでしょうか。事件当時、編集子は一学生の参加者にすぎませんでしたから、警官隊のふりおろす棍棒の空気を裂く音を耳の後ろに聞いて、文字通り間一髪逃げ、スクラムからゴボー抜きされたあと警官対のトンネルと、下からドロ靴で蹴り上げられながら、くぐらされた経験があります。

春岡耕造氏の「国鉄改革を越えて」は、これも多くの犠牲者を出した国鉄改革、炭鉱合理化が三池の悲惨な炭塵大爆発を引起したように、福知山線の悲惨な事故の背景には「国鉄改革」があるのは明らかですが、その「国鉄改革」をこえて、新たな状況を切り開くことをテーマにしていくものと思われます。
 もう一つ、私たちの今の危険、刈羽原発7号機の運転再開、原発、特に柏崎原発ではいつも書いていただいている武本和幸さんが「なんら問題解明されない中で」の運転再開の状況、背景を明らかにされます。「専門家」の権威を借りながら優先されるのは資本の都合=耐震偽装です。
 今月も原稿が集まりすぎて、一部の原稿を先送りせざるをえませんでした。あしからずご了承をねがいます。(松本)