【編集後記】
●今月のトップは近藤正道参議院議員の「第169国会と残された課題」としました。予算案、消えた年金記録、高齢者医療、道路、派遣労働者の実態、問責決議案などをどう闘ったのか、サミット後の政局の見通し、そして秋からの臨時国会では、衆議院に移る後期高齢者医療、労働者派遣法の改定、道路特定財源の一般化など生活課題では野党共闘をなんとかっして守り有効に追求したい、憲法審査会は始動させない、新給油法を許さず、自衛隊の海外派兵恒久法は自公民の連携が成立しないよう野党共闘をかけてもがんばると、非常に明快な論旨です。秋への闘いにむけてお読みください。
●二、三番目はアメリカに関して二本。一つは柴山健太郎氏の「アメリカ一極支配の時代は終わったか?―揺らぐ国家戦略の再構築をめぐる支配層の戦略論争」。アメリカはこのまま衰退していくのか、復原する力があるのか、どう見るかは世界的関心でしょうが、米支配層内での論争の紹介です。
次は河辺一郎氏の「米国の戦争観と北朝鮮政策」。朝鮮の「核計画」の申告とアメリカのテロ支援国家指定の解除のニュースは、拉致問題で挑戦に対し、制裁圧力と、「あの国は信用できない」と対外不信キャンペーンに明けくれ、それと矛盾する「粘り強く交渉」の常套句に終始してきた日本の右派勢力、外交当局、それらに追随したメディアにとって繕い難い痛手となっているようです。「同じ価値観に立っているアメリカ」との思い込みから、テロ指定解除への抗議まで騒がしいのですが、アメリカにはアメリカの価値観がある。それをキチンと把握しないで、騒ぐのは日本のリベラルも含めてみっともない、「みっともない」という言葉は河辺さんは使っていませんが、そういうことを教えられる文章です。右翼的な主観と脅しが日本外交とメディアを誤らせてきましたが、情勢の展開に強制されてではなく、自ら正すことが課題でしょう。
●福留久大先生の「自治と交流の仲間作り」は、6月号に掲載した山口たか氏と阿部知子氏の文から着想の文章。
派遣労働、秋の国会でも法改正が重要な課題となりますが、この国の大問題となってきた非正規労働のもう一つの代表的なものがパート労働です。下山広子氏の「パート労働者の社会的地位の向上めざして」はその組織化のレポートです。
関連して、井藤均氏の「中小労組の闘い続く08春闘」。中小の闘いから導き出される問題点を総括的に明らかにしています。
●先月は憲法に関する文章が並びましたが、今月も一つ。「押しつけ憲法」という見方はなかなか払拭できませんが、現行憲法には日本人の思いの数々が反映されているという野崎靖仁氏の論稿。憲法制定時に独自に作成された在野の憲法研究会案と日本社会党の「新憲法要綱」からそのことを論証します。
読者の鎌田明彦氏からの「後期高齢者医療制度廃止後の制度設計」は、野党が一致して廃止を求めるこの制度について廃止後の政策的設計についての注文です。読者からの提案として議論の対象にしていただければと思います。(松本)
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