【編集後記】
●これまで憲法特集というと5月号というイメージでしたが、憲法月間に行われる世論調査や集会の結果、イラク派兵を違憲とする名古屋高裁判決などから今月号に憲法関連の原稿が集中しました
山崎一三氏の「9条をめぐる改憲派の戦略と護憲派の戦略」は今後の憲法闘争の構図を描いて、重要な問題提起と思います。結論部分で触れられている名古屋高裁判決裁判について、この裁判の原告の一人でもある浅野健一氏から特に寄稿をいただきました。
冒頭の写真の説明にイラクに派遣されるのと同型機としましたが、どうやらイラクに派遣される機そのもののようで
す。というのが、誌面では白黒写真になりますが、元々はカラー写真で機体が空色なのです。本文を読むと通常のC130は緑
色、イラクへ行くのは空色だとのこと。浅野先生はゼミの学生と共に小牧基地に取材に行かれ、撮影されています。本文につ
いては直接読んでいただきたいと思います。
●憲法月間の集会については、幕張メッセで開かれた9条世界会議に参加した「ナインにいがた」の横山由美子さん。「ナインにいがた」はただの参加団体ではなく、実行団体の一つ。7000人という大会場に入りきれない1万人の参加はどうして実現したのか、氏の文章からもその一端がうかがえます。
もう一つ、「ナインにいがた」の企画で、憲法で軍隊を持たない国コスタリカと、ソ連の崩壊後も社会主義を堅持するキューバ、そしてリベラの壁画を展示するメキシコへの旅を記した有田純也氏の文章、キーワードは「希望」です。人間を生々とさせるのが希望。「日本には何でもあるが、希望だけがない」と言った人も。
●胡錦濤主席の来日と福田首相との日中首脳会談については、社民党関係者でもきっての中国通、曽我祐次氏に最近の中国をめぐる諸問題を含めて、お願いしました。首脳会談は、一部マスコミでは懸案の諸問題について具体的な解決がなかったと否定的なニュアンスで報じる向きもありましたが、「戦略的互恵」の立場で大局的に大きな意義があったとする見方。ガス田は早期解決、ギョーザについては曽我さんの個人的な情報を紹介しつつ、ふみ込んだ見方。チベットについても歴史的経緯からふれられています。
●鎌倉孝夫氏の「経済診断」、今回は理論篇。ホリエモンの“時価総額”という名の株式による錬金術、庶民の汗の結晶である郵貯・簡保の資金を米日の金融資本のエジキにする郵政民営化、世界経済を混迷に陥し入れつつあるサブプライムローンなど、実体経済から逃避して徘徊し、実体経済に損害を与える擬制資本の動き、グローバル化する現代資本主義の批判を続けてきた氏が、もう一度、経済学の基礎から説き起こそうとする内容です。
「強制連行・強制労働犠牲者の遺骨返還」や「お産をめぐる現状と課題」はここで紹介する紙数がなくなりましたが、重要なテーマをとりあげていますので読み落としなくお願いします。(松本)
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