「進歩と改革」No.697号   --2010年1月号--

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■主張 行政刷新会議の「事業仕分け」と残された課題

三党連立政権と社民党の課題               福島みずほ

■国際政治の視点 普天間移設              河辺 一郎

鳩山政権と官僚                     隈本  等

記者クラブ「開放」ではなく「廃止」で          浅野 健一
真のジャーナリズム創生を

◆マンガ 続アフターラプソディ・イン09        森本 清彦
     「コレデモカ!コレデモカ!」  

マルクス再読30年                   田畑  稔

■鎌倉孝夫の経済診断〔理論篇〕
農業・環境破壊の根本原因とその克服―『資本論』の叙述から

有機農法再考論(その4)                西村 和雄

国鉄改革を超えて(7)                 春岡 耕造
―労働運動篇・「労務管理問題」について

日本の田舎からローカル・シルバーニューディールを    鈴木  實
創ろう 

◆本紹介 水本祐著『金鳳花』              鎌田 明彦

●スポーツ時評 やはり巨人は強かった          中森 稔博

【編集後記】

新年号は恒例の福島社民党党首(内閣特命担当大臣)の談話です。 昨年の総選挙から参議院選挙へ、そして生活に身近な少子化、消費者・男女平等担当大臣としてますます元気な話をいただきました。
 新年号も前月に引続き、政権交代による新しい政治と課題。河辺先生の「国際政治の視点」は問題の普天間。これに立ちはだかるアメリカ側の当局者は米民主党の中でも保守派、与党内の保守派というのは、一番やりにくい相手のようです。一方日本側は手足のはずの外務省官僚が頭の固い古い体質。

思い出すのは辻元清美議員のインタビュー。普天間はヘリコプター基地なのに、移転予定先の辺野古には長い 滑走路が二本も計画され、その矛盾を突くと、政府側は答えられなかった。辻元議員はこれは新鋭の固定翼機を配備し 、港湾建設とあわせて将来、大基地をつくる思惑ではないか(06年9月号)と。今の計画もV 字型の二本の長い滑走路、しかも米側は全計画がパッケジーで固まっている、部分的変更はありえな い と頑固そのもの、岡本行夫氏や森本某氏らは過去の日米合意にこだわって、日米の保守派を応援する のに必死だ。ここを突破しなければ。そして何よりも、基地反対の大衆運動の拡大こそです。
鳩山内閣のかかげる「脱官僚」について、官僚とはどはどういうものか、隈本等さん に書いてもらいました。「脱官僚」のテーマを判断する資料になると思います。
 もう一つは、記者クラブの「開放、を浅野健一先生に書いていただきました。「開放」 ではなく「廃止」によってジャーナリズムの再生を、というのが先生の切実な思い、これもぜひお読み下さい。
 森本さんのマンガ、政権交代をまたいで小沢、鳩山と続く民主党トップの「金」に対す る告発のウラにはアメリカの黒い存在があるとの警告。

田畑稔氏に編集子の引退を告げたところ、「それでは最後に一筆書かせていただ きます」と言って下さり、それでは、マルクス再読と理論の役わりというようなテーマで お願いしますと申し上げました。氏のライフワークとも言うべきマルクス再読≠ヘ、 ソ連の崩壊に前後して八九年から90年代初頭にかけて、本誌に書かれたのが活字と しては最初の時期だったと思います。今回も力の入った文章で、書かれていることも 非常に重要なことと思います。執筆者と編集者の関係をこえて、今後の根本的な思想 の問題として脳裡に収めていただければと思います。
 鎌倉先生の「経済診断」今月号は理論篇、農業・環境破壊の根本原因と克服策 です。場当たり的や国益、個別利益優先ではかえって事態を悪化させるとして、まず 基本データから「合理的農業」への道筋を明らかにします。

本誌はいろんな角度から農業について掲載してきました。今号も掲載していますが 、有期農業について技術的見地から西村和雄氏、90年代には農民運動の立場から山中高吉氏、い ま政権交代で陽の目を見ようとしている農家への戸別補償政策はすでに90年代に山中さんが本誌上で展開、主張されたものです。(松本)