「進歩と改革」No.698号   --2010年2月号--

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■主張 社民党全国大会へ向けて

韓国併合百年、ねつ造の百年                洪  祥進

社会民主主義の可能性                   福留 久大
―広井良典見解に触れて

■国際政治の視点 核密約問題有識者委員会         河辺 一郎

◆マンガ 「平和賞」正体見せた似非オバマ!        森本 清彦

社会党・社民党の軌跡に見る苦節65年            曽我 祐次
―路線論争・政権論の系譜と総括(その1)

■日韓社会的企業セミナー報告               
―排除にあう人々の社会統合、労働統合           柏井 宏之

◆マンガ 地方条例と表現規制               鎌倉 圭悟

有機農業再考論(5)                   西村 和雄

編集五十年(11)                    松本 弘也

国鉄改革を超えて(完)                  春岡 耕造
―労働運動篇・「新たな鉄道労働運動の構築について」 

つれづれの記(2)                     市川  勝

『坂の上の雲』と横須賀・松山               若林 一平

●スポーツ時評 不況に強いリサイクル           中森 稔博

【編集後記】

2月号をお届けします。編集バトンタッチしました。
 今年は、日本の韓国併合から100年という歴史的な年にあたります。韓国併合と歴史を考える時、石川啄木の短歌や中野重治の詩を思い出す人もいるかも知れません。洪祥進さんにご寄稿をお願いしました。1910年の併合に至る前史が重要との指摘です。司馬史観の批判も。洪さんには、本誌07年8月号に、「関東大震災―朝鮮人虐殺と日本の課題」も書いていただいています。鳩山首相の友愛外交や東アジア共同体など、その内実をぜひ今年に前進させたいものです。

福留久大先生の今月は「社会民主主義の可能性」です。タイトル・見出し・小見出しは、10字にするのが先生の鉄則。 広井良典見解に触れて の本文の内容とともにご注目下さい。ほら副題も10字でしょ!。河辺一郎先生の「国際政治の視点」、西村和雄先生の「有機農業再考論」、森本清彦さんのマンガ「CROSS―EYES]、中森稔博さんの「スポーツ時評」、引き続きご執筆いただいています。
 先日、東京丸の内の書店「丸善オアゾ」に寄ったら、名著フェアをやっており、そこに河辺先生の『日本の外交は国民に何を隠しているのか』(集英社新書)があり、嬉しくなりました。西村先生の連載五回目。土作り、いや育土による土壌の変化と野菜作りは、読んでいてワクワクしてきます。

曽我祐次さんに、「社会党・社民党の軌跡に見る苦節65年」を書いていただきました。二年前、曽我団長の訪中団に参加した際、北京で、社会党の政権論の歴史をお聞きする機会がありました。鳩山政権への社民党の参加を受けて、思い出し、お願いした次第です。左右社会党の統一綱領の積極評価を含む社会民主主義の立場からの政権論、今月と来月号の二回にわたる曽我さんの総括です。     

柏井宏之さんからは「日韓社会的企業国際セミナー」の報告。韓国の運動の前進が示されています。ドウフルニ報告に対する韓国側からの批判、鳩山連立政権の緊急雇用対策の評価にふれた箇所にも注目したいものです。
 春岡耕造氏の「国鉄改革を超えて」は、八回にわたる連載が完結しました。連載は終わりますが、鉄道労働運動の構築へむけた取り組みはまだまだ続きます。静岡で弁護士としてご活躍の市川勝さんの「つれづれの記」は、今月も多彩な知識に満ち満ちています。

前任の松本弘也さんから編集を引継いだ最初の号となりました。「20世紀フランス文学の知的冒険」にふれてこられた松本さんのレベルまで到達するのは、なかなか至難なことですが、がんばります。松本さんの「編集50年」は、続きます。そういえば、私の若かったころの六〇年代後期、『知性の叛乱』という本がありました。叛乱した知性はいまどこへ?「創造なき破壊」にならないよう、自壊を込めて、努めます。どうか宜しくお願いします。(山内正紀)