「進歩と改革」No.684号   --2008年12月号--

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■主張 総選挙の引延しで麻生政権は政治的道義を喪失した
―追加経済対策は格差縮小なきバラマキだ


メディアは日本政治の大転換を先導せよ           浅野 健一
−大恐慌時代と自公政権の終焉

◆マンガ 助けないと、一番困るヤツらは誰なんだ!     森本 清彦

WTOと世界信用恐慌―過剰資金問題の両極点        福留 久大

アムステルダム50日
―国際社会史研究所での調査を中心に             田畑  稔

有機農法技術のあるべき姿とは                西村 和雄

持続可能な社会をめざして                   柴山健太郎
―社会主義インター第23回大会(下)

コミュニティユニオン全国集会から(上)          鳴海洽一郎
―始まった非正規労働者の反撃

一大金融危機の中での日本は                 木村  毅

●寸評 オバマ当選と日本メディアの伝え方

◆スポーツ時評 阪神、阪神、あぁ、タイガース        中森 稔博

【編集後記】

総選挙が引延ばしにあっています。それでいながら明らかに選挙対策の2兆円のバラマキ。それで支持率が 好転すれば(しないでしょうが)、総選挙でしょうか。政権の私物化も究極――「主張」でとりあげました。
 本来ならこの稿を書いている今ごろは総選挙の公示も間近のはずでした。そのような状況を想定して、浅野健一先生に政治とメディア批判をお願いしました。想定は変わっても、キチンとした批判の原稿をいただきました。最高裁判事に起用された竹内元外務次官のメディアの紹介の仕方、野党の資料請求に介入する自民党の事実上の検閲を批判しようとしないメディア、イラク戦争への参戦、給油のサービスを見逃すメディア・・・権力に腰が抜け、迎合する実体が明るみに。

福留先生の「WTOと世界信用恐慌」は前半で、WTOの仕組み、タテマエと超国家的企業の支配の実態、それが国籍と結びついて、アメリカの横暴なダブルスタンダードとなり、一方で日本は何の抵抗もしない姿が明らかにされています。インドや中国の反撥からWTO交渉の決裂。後半は世界信用恐慌の解明へと進みます。先月の鎌倉孝夫先生に続く、金融パニックの解明です。

久しぶりに田畑稔先生に執筆をいただきました。オランダ短期留学から帰国され、忙しいなかを無理していただいた原稿です。マルクスの原資料の存在はそれ自体が一冊の本になるような問題ですが、その原資料(コピー)にあたることの学問的な、ひいては実践的な意味が明らかにされています。スピノザやデカルトなどマルクス以前の哲学者のオランダにおける足跡の探訪、現代のオランダモデルなどにもふれる「アムステルダム50日」です。田畑さんの原稿には写真が4点ついていたのですが、技術的時間的な問題で間にあいませんでした。
NHKラジオで偶々耳にした話――農薬は厳密な検査をしているので全く危険はない、かえって有機自然農法のなかには危険なものもあると、農薬メーカーのコマーシャルのような話が専門家の解説として断定的に語られていました。西村和雄さんの原稿をいただいた後でしたが、これでは西村さんもファイトが燃えつきることはないでしょう。「有機農業技術のあるべき姿とは」――その内容をお確かめください。
 柴山さんの社会主義インター世界大会声明の紹介は続です。おかげで世界の社会民主主義者の動向を知ることができました。

鳴海洽一郎氏の「コミュニティーユニオン全国集会から」は、低迷する企業組合の現状を前に、この運動のなかに労働運動の新しい展望を見出そうとするもの。長期化が予想される不況を前に、労働運動の再建は切実な課題です。読者のみなさんからこれに応える文章をいただきたいと思います。
 新潟の木村毅さんから「一大金融危機の中で日本は」が寄せられました。読者の方々の論考を大切にしたいと思います。
 今月は記事輻輳のため、編集子の「編集50年」は次号に順延しました。来月はアメリカ大統領選挙の結果などをとりあげる予定です。(松本)