【編集後記】
●異例の年越しとなった臨時国会の総括と通常国会の課題を社民党の幹事長となった重野安正氏にお聞きしました。取材したのは2月4日、これはテープを起し、重野さんに見ていただく日時を計算しますとやむをえない日程です。しかし、その後、沖縄米兵の暴行、イージス艦と漁船の衝突と大事件が続発。この二つは「主張」でとりあげました。
重野幹事長は、国会のすべての委員会で、格差拡大問題を追及すると言われ、確かにこれは、今日の社会のあらゆる面に現われた重大問題。衣笠哲生氏の「激動する政局の底にあるもの」、鳴海洽一郎氏の「労働ビッグバンは亡国への道」もこれに関連しています。衣笠先生は福田内閣の急速な支持率低下の背景を小泉内閣以後の規制緩和、民生の圧迫に求め、医療、消費税増税の動き、労働の規制緩和などから具体的課題を明らかにし、鳴海氏は労働ビッグバン問題以後の労働破壊が、すでに亡国の事態まで至っているとのこと、具体的闘い方を指摘します。
●編集計画が終わって以後のもう一つの大問題は中国製ギョーザです。連日テレビ・新聞でこれだけ騒がれているのを本誌が見送っていいものか、とりあげるとしても切り口をどうするか、次第に迫る締切りを前に数日思案。たまたまテレビで食の不安から、「よつば」の会員が増えているとのニュースに「これこれ」と、前に米国産牛肉の輸入問題を書いていただいた津田道夫氏に急遽お願い。書いていただいたのが「毒入りギョーザの向う側」。向う側に見えたのは日本の内側でした。
●3月号で著書を紹介させていただいた浅野健一氏に裁判官制度を前にした新聞協会の報道指針について書いていただきました。浅野先生は「週刊文春」にセクハラをしたと報道され、裁判を起していましたが、2月27日、京都地裁で勝訴判決。内容的には明らかに勝訴でしたが、「週刊文春」には金銭の支払いだけで謝罪広告は科されず、この程度では無責任報道を断つには不十分でしょう。
●鈴木実さんからいただいた新年の通信にバイオマスと自治体財政について書きたいとの添え書きがあり、お願いしました。文末の民営化については、議論をよぶかもしれません。反対しても進められてしまう公共事業の民間委託などを前に公共性をどう担保するのか、NPOを含めたその担い手など議論は必要。異論を排除せず百家争鳴の機会になれば。「書くのはいいけど、その前に飲もうよ」との鈴木さんの提案にうっかり乗ったのが運のつき、店を出た途端にグラッときて、どこかに顔をしたたかぶつけたらしく、鈴木さんが呼んでくれたタクシーに乗ったものの意識はモーロー、家に帰ってみれば、目の下、鼻梁、唇などに深い亀裂、前歯が一本根元から折れてなくなっていました。顔中血だらけで、女房が珍しくやさしく傷の手当をしてくれたのが唯一の慰め。聞けば鈴木さんもフラフラで、どうやって帰ったのかわからないとのこと。二人ともいい年をして全く。このところ原稿があふれ気味で今月は抑制気味にしたところ大穴があきそうになり、編集子も長めの原稿を用意しましたが、これは使わずにすみました。(松本)
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