■創刊のことば■ 大内 兵衛
(1951年6月号)
山川 均
このときから20年をへた今日のわが国は、制度の上では或る程度に民主主義化され、
労仂階級の組織と政治上社会上の勢力も当時とは比較にならぬほど大きくなったとはいえ、
民主主義勢力が国の主導権を握るというところからはまだはるかな手前の段階で、
はやくも反動期に入ったのであります。
今日わが国の支配者の構想しているような講和が成立したならば、どのような日本が再現するかはあまりにも明瞭で、
われわれは講和を転機として本格的な反動時代が来ることを覚悟しなければなりません。
この来るべき反動期に、われわれは準備なくして投げこまれ、
労仂階級の民主主義=社会主義の運動と民主主義=社会主義の勢力とを、
もういちど反動の波におし流されるにまかせておいてよいでしょうか。
断じて、そういう事態が再び起ってはならないでしょう。もし今日われわれが、来るべき反動期を見とおしつつも、
これに備えることを怠るなら、われわれの時代は、
過去における運動の体験から何事をも学ぼうとしなかったという批判をまぬがれないでしょう。
では、われわれが来るべき反動期を乗り切るためには、なにをすべきでしょうか。
それは今日も20年前と同じように、
基本的に労仂階級の戦線の統一と社会主義勢力の結集ということ以外にはありません。
ただ600万の労仂階級が組織され、
そしてこれらの組織労仂者の多数によって支持される政治運動の組織がすでに存在する今日は、
この戦線統一の具体的な方法は、おのずから20年前と異なるものがなければなりません。
すなわち
(2) あらゆる分野と職域との進んだ要素を、社会主義政党の組織に結集すること。
(3) 労仂階級の組織と運動とを、極左主義の破壊的影響から衛るとともに、
反動期の特徴としてすでにそのきざしの現われている右翼偏向と反階級的な勢力の動きとを克服して、
階級意識を明確にし、民主主義的社会主義の方向を確立することでなければなりません。
したがって本誌の同人は、組合および政党の内外にわたる民主主義的社会主義者の集団でありますが、
もとより政党政派の性質をもつものではありません。
また『社会主義』は労仂団体および社会主義的な政党にたいしては積極的、建設的、協力的な立場をとるとともに、
いずれの団体とのあいだにも特殊な関係をもたないものであります。
準備期間が限られていたために。便宜上、50数名の同人をもって発足しましたが、同人の門戸は広く開かれており、
志を同うする諸君の参加と協力を待つものであります。
本誌に充実した内容をあたえることも、本誌が充分にその使命を果たすことも、さらに本誌の存続そのものさえも、
同志諸君の熱意と協力にかかっています。諸君の積極的な御援助を御願いします。