■巻頭言■
(1988年4月号)


すべての分野で批判とペレストロイカを
「進歩と改革」への誌名変更にあたり

 いま世界は人類の存続すらが問われている重大な転換期にある。

ロシア革命から70年がたった。世界的社会主義体制が実現された。 中国革命からも39年になる。社会主義は願望ではない。現実の問題となった。 世界的な社会主義体制の存在は、 資本主義国内での平和と民主主義を守り闘う人民や開発途上国での反帝闘争とともに、 第3次大戦による人類絶滅を防止している。

 社会主義の存在は、人類文明の世界的発展の切りはなしがたい主導的なものである。

 いままで、社会主義諸国に生じた多くの困難や誤りは、社会主義国自身の自己批判により、 社会主義的民主主義、経済改革、新しい思考により、その魅力が増大しつつある。  

 資本主義諸国では独占体・右翼からする攻撃によって、 70年代後半から労働運動が大きく後退し、左翼の影響力が低下した。

 21世紀にむけての大きな転換期に際して、 みづから自身と大衆の中での活動方法の全体にわたって、 新しい思考と方法が検討されねばならないときにきた。

 世界も日本も、マスコミ、産業構造、労働力構造、環境変化、文明状況、 大衆自身の思考にも大きな変化がおこっており、支配階級の新しい攻撃と対応の変化に、 われわれの側が立ちおくれ、社会主義運動や労働運動、大衆運動の切実な課題の解決で、 その変化をみぬけず、教条的で経験主義的であったことはいなめないだろう。

 社会主義自体をスローガン化してしまい、大衆一人一人を人間として、 それも生身の生きた人間としてとらえたであったろうか。 人間、つまり、勤労大衆の自主性、主体性を本当に大切にしてきたであろうか。

 今日、われわれが生活している世界の中で、核戦争を阻止することは第一義的である。 レーニンが提唱した平和共存といった思考をこえた人類生き残りをめざす核戦争阻止と環境破壊阻止のための 運動を展開することが必要である。そして、その闘いとわれわれ自身の階級的利益を守り、 発展させる闘いをより新しい観点に立っておしすすめねばならない。

 それが、われわれが提起する進歩的民主主義、進歩と反独占・民主改革の戦略である。 社会のあらゆる分野において人間の尊厳を打ちたてるため、政治的、社会的、経済的、文化的な勤労者の民主主義を徹底的におしひろげ、人間による人間の抑圧、搾取、疎外から人間が解放され、真にヒューマニズムにもとづく社会主義を実現しなくてはならない。

 だが、それは労働者階級を主軸とする勤労大衆自身の事業である。

 われわれは戦後左翼運動の「終焉」の原因をさぐり、そしてその新しい昂揚にむけて、 あらゆる分野で、あらゆる活動方法で、ペレストロイカを遂行する決意をこめて、 全読者に「進歩と改革」誌をおくる。われわれの歩みは、一挙ではもちろんありえない。 それは、読者、支持者のみなさんのペレストロイカの歩みとともに前進する。

 従来にまして御協力と御批判をおねがいする。

 すべての読者が口を開き、批判をはじめるところからはじまると信ずる。 人形であってはならないと思う。思いきった発言が誌上に飾られることを期待するものである。