「進歩と改革」No.820号    --2020年4月号--


■主張 社民党全国大会と福島みずほ党首の再登板

 立憲民主党への「合流」案は継続・協議に


 社会民主党の第17回定期全国大会が2月22日(土)、23日(日)の両日、東京都内で開催された。社民党はこの間、立憲民主党への「合流」をめぐって各級機関で論議を積み重ねてきた。その結果が今次全国大会の第1号議案として提起された。そこでは「合流の是非の判断は次期臨時大会で行う」「それまでの間、討議資料に基づき、党内議論を継続・豊富化し、丁寧に積み上げます」とし、「情報不足との指摘や判断材料を求める声を受け止め、『党の活動の場が保障されるのか』、『理念・政策・運動・組織の継承や発展が担保されるのか』、『将来の具体的な青写真を示してほしい』などという意見にしっかり答え、党内議論をさらに深めていくため、かりに合流を選択した場合どうなるかなど具体的内容についての協議を行い、一層の情報や資料の提供に努力します」とされている。  枝野代表の「よびかけ」以降、社民党ではブロック事務局長会議(12月19日と1月21日)、全国幹事長会議(1月29日)が開催されてきたが、その報告を『会新報』で読んでも、合流反対の声が強かった。しかし議案は、その声を反映せず、継続・協議で貫ぬかれている。続継・協議を求める意見が存在することは否定できないが、今次全国大会も1日目を報道した『朝日新聞』(23日朝刊)が「意見を述べた8府県すべてが(合流)反対もしくは慎重だった」とし、2日目もほぼ同様であった。

 全国大会での討議では、立憲民主党との政党間協議を打ち切るべきとの意見も披瀝されたが、議案は一致して可決された。党の統一と団結をはかる立場からであろうし、当初「立憲民主党からの『よびかけ』に応じ、次期総選挙前の政党一本化をめざす方向で、党内論議を進めていくことを確認した。・・・また、できる限り、党員・党組織がまとまって移行できる環境整備に最大限の努力を払いたい」などと、とてつもなく前のめりな提案をした社民党全国常任幹事会を、ここまでに押しとどめたというのが実際であろう。それでは「合流」の是非を判断する臨時大会はいつ開催されるのか。吉川幹事長の大会答弁では、「協議の進み具合を見ながら次期執行部が決めることになる」とされたが、今次大会での示された論議を踏まれば、少なくとも総選挙後の開催が求められている。

 問われる総選挙への社民党の取り組み


 〈第49回衆議院総選挙と中間選挙闘争方針〉は第3号議案として提起された。その冒頭「はじめに」の項には次のようにある。「立憲民主党からの『よびかけ』に対する今後の対応については、当面党内議論を継続・豊富化することとなります。わが党としては、ともに闘う道を選択するか否かに関わらず、社民党の運動と組織を維持・継承し、憲法と社会民主主義の理念にもとづく政治を実現するため、国政選挙や中間選挙において私たちを代表する議員(候補者)をつくることが使命です。きたる衆議院総選挙にむけては小選挙区においては小選挙区候補者の早期擁立を進め」ます。

 きたる総選挙の闘争方針に、「わが党としては、ともに闘う道を選択するか否かに関わらず」と記すのはどういう意図からか。「次期総選挙前の政党一本化をめざす」立場を意味するのではないか。この記述と社民党で総選挙を闘う方針との矛盾が全国大会で指摘されたが、これは当然である。総選挙前に立憲民主党への「合流」に選択肢を残しつつ、社民党公認候補を擁立する、あるいは社民党解党の選択肢を議案化しつつ、社民党への支持を訴える器用なことができるのか。総選挙を闘う本気度が問われている。第1号議案では、立憲民主党との「合流」問題で党内議論を継続するのは「党が団結し、まとまって行動できるよう」にするためとされている。そうだとすると、総選挙前に「合流」是非を問うことなどありえないはずである。

 又市党首は挨拶で、「そもそも『5議席・得票率3%以上の獲得』で国政政党の存続が確実に見通せるならば、この『合流の是非』を検討する必要はなく、連立政権構想を深めるべきです。しかし党の現状にあってはそうならないケースも想定し、検討しておかねばなりません」と発言した。今次全国大会は、どっちでも取れる方針ではなく、次期総選挙で社民党が「5議席・得票率3%以上の獲得」めざす闘争方針をまず明確に打ち立てるべきではなかったろうか。全国大会では、社民党の主体強化へ総選挙公認候補の全国的擁立、得票率増への努力、自治体議員拡大などへの強いアピールが行われたが、そうした主張に応え、努力を重ねなければならない。

 7年ぶりに党首・福島みずほ氏、幹事長に吉田忠智氏、新しく常任幹事に大椿裕子氏
  

 全国大会では、又市党首に代わって福島みずほ参院議員が新党首に就任した。7年ぶりのことである。社民党が運動方針にいう「男女共同参画社会」実現へ、その決意を体現する顔として、福島党首に期待したい。幹事長は吉田忠智参院議員である。野党共闘の「要石」として活躍したのは知られている。先の参院選で国政復帰した「闘う顔」である。吉川元幹事長は今回、副党首に就任した。社民党にとって決定的に貴重な衆院議員、53歳と若く、抜群の政策通である。この新3役には、フットワークの良さで、党員・支持者・有権者との絆を築いてほしい。今回、先の参院選の比例候補であった大椿裕子氏(大阪府連合)が全国常任幹事として就任した。選挙に立候補した人を大切にすることは大事だし、大椿氏は永く非正規労働者の組合活動に邁進し、先日は#KuToo運動の石川優美氏と対談するなど豊かな発想で、社民党に新しい風を送りこんでいる。その発信力が社民党ユースと結合し、新聞を読まない若者世代への社民党のSNS対応を刷新できれば嬉しい。新しい執行体制を支え、一歩前進しようではないか。