「進歩と改革」No.678号    --2008年6月号--


■主張  後期高齢者医療制度廃止の運動を徹底的にひろげ、小泉以後の弱者いじめを全面転換する突破口にしよう



 4月27日投票の山口県の衆議院補欠選挙は、民主党公認、社民党推薦の候補が自民党公認候補に2万票以上の差をつけて当選した。後期高齢者医療制度の廃止と道路特定財源の一般財源化を掲げた候補の当選は民意が政権側と野党側のどちらにあるかを明確に示した。

 これより先、4月7日、民主、共産、社民、国民新の野党四党の幹事長・書記局長、国対委員長は国会内で会談し、後期高齢者制度の撤廃に向け、共同行動を強め、4月から始まる年金からの保険料の天引きの中止を要求することで一致した。小泉改革以来、貧富の差が拡大し、医療や地方の崩壊がもはや誰の目にも露わに見えてきた情勢のなかで、またその影響を受けて、福田内閣の支持率が急落を告げるなかで、目に見えて過酷で、国民の反発がはっきりしている後期高齢者医療制度で、野党四党が足並みを揃えた意義は大きい。このことを中曽根・小泉以来の強きを助け、弱者をくじく政治軌道からの全面的転換をかちとる突破口としたいものである。

 後期高齢者医療制度は今年の四月から実施され、4月15日、年金からの保険料の最初の天引きが行われた。これに対する反発は予想通りと言うべきか、予想以上と言うべきか、非常に激しいものがあった。75歳を過ぎたお年寄りから問答無用で金を巻き上げるというのは、まことに酷いものがある。もちろん、この制度の酷さは年金からの天引きだけではない。実に多くの問題を孕んでいる。詳しいことは、別に社民党の阿部知子政策審議会長から話を聞いて、今号に掲載しているので、そちらを読んでいただきたい。

 本誌はこの制度の問題点を、昨年10月号の安倍改造内閣の発足のときも「主張」でふれたし、本年3月号では河野正輝氏に保険制度と医療の不安について仕組みと問題点を解説していただいた。また衣笠哲生氏も4月号でこの制度が高齢者差別であることを鋭く批判され、小泉改革が結果として自民党の基盤を掘り崩していることを明らかにされている。かつては一億総中流などと言われた日本が、このままだと、いま売れている本「貧困大国アメリカ」(別項で紹介)のようになってしまう。それは何としても防がねばならない。

 後期高齢者医療制度への反発は、スタートして、直ちに大手商業紙の世論調査に現れた。たとえば、4月19、20日に実施された朝日新聞の調査では、後期高齢者制度を「評価しない」は71%に達し、「評価する」は僅かに18八%であった。この数字は、同じ調査でガソリン税を再議決で決めることに対し、反対63%、賛成24%という圧倒的な数字をもさらに上回る。この二つの数字は内閣の支持率にも直結しており、福田内閣の支持はいまや25%(前回31%)で、「支持しない」が60%(同53%)と危機線を越す内閣支持率をさらに降下させている。他紙の調査でも同様の傾向が現れており、自民党内でも福田内閣での解散はもはや不可能とする見方が強まったようだ。後期高齢者医療制度への反発は当 該の75歳以上だけでなく、各年代に広がり、特に高齢期間近の年代に不安と怒りを募らせているようだ。

 このような国民の圧倒的な怒りと批判の声を背に、今こそ野党4党の廃止案を成立させるべきである。政府・与党が固執すると、総選挙でいよいよ惨敗すると完全に動揺するところまで、徹底的に宣伝し、政府与党を完全に包囲することが必要だ。

 社民党はすでに後期高齢者医療制度の廃止を求める街頭宣伝を始め、ポスターも作成している。その反響は大きいようだ。地域で活動している党員の声を聞くと「新たな負担と差別をもたらす後期高齢者医療制度は廃止しかない」と訴えるポスターは「ぜひ欲しい」という声が相次ぎ、手持ちの分はあっという間になくなり、追加を求めていると言う。社民党は4月24日に「後期高齢者医療制度・怒りの声ホットライン」を実施した。また社民党がおこなっている「国民生活の改善を求める緊急署名」も好調な広がりを見せているようだ。署名の請願項目は「後期高齢者医療制度の廃止」「5000万件の年金記録の解決」「労働者派遣法の抜本的改正」「定率減税と各種控除の復活」「不公平税制の是正」である。4月16日、阿部知子衆議院議員が神奈川県藤沢市で行った請願署名の訴えは一日で500人を超える署名が集まったという。このような運動を全国各地にひろげていこう。