「進歩と改革」No.674号    --2008年2月号--


■主張  総選挙勝利へ、社民党大会から



劣化する日本政治のなかで問われる社民党の位置

 07年12月22、23日、社民党の第11回定期全国大会が開かれた。大会は今年中に予想される衆議院総選挙に向けて社民党の闘う構えを確立し、新役員を選出した。
 総選挙は、本誌前号の山崎一三氏の「08年、いかなる本質が現象し、どう闘うのか」において「政治の劣化に抗する社会民主主義者の闘い」を強調しているように、とどめのない政治の劣化のなかで、社会民主主義の出番が促される状況での闘いとなる。
 「戦後レジームからの脱却」と「5年以内の憲法改正」を勇ましく掲げた安倍前首相が参議院選挙に惨敗して、みっともない逃亡をした後、登場した福田首相も、慎重で防御に堅いと見られたのも束の間、年金問題や薬害C型肝炎訴訟の解決の出し惜しみ遅れで緊張感のない馬脚を現している。「政府与党は今後一年間で(宙に浮いた年金記録)すべての統合を完了させます」「全国民が本来受け取ることができる年金を全額受け取れることをお約束します」という参議院選挙公約の実施ができないことが明らかとなったなかで、「公約違反というほど大げさなものかどうか、と思いますけどね」と言って「首相が公約を覚えていない政権なんてありうるのか」と追求され、陳謝する始末。防衛疑惑も大きくなり、内閣支持率は急落、あまりにも政治が軽すぎる事態である。国民の間には政権交代を待ち望む機運が満ち満ちつつある。
 この状況で、野党第一党の民主党も福田・小沢会談で「大連立」構想を一応、撤回したものの、不信感が残る状況となっている。
 やはりキチンとした対抗軸を持った野党の存在が必要なことは、明らかで、社会党を潰してしまったことを後悔する発言も出てきているが、現代において、保守政治、新自由主義、グローバリズムに対する対抗軸は社会民主主義をおいてない。社民党は今日の日本で社会民主主義を掲げる唯一の政党である。
 参議院選挙で与野党が逆転してから、政治の停滞が言われ、総選挙後に政界再編を待望する保守系の言論があるが、これに備える意味でも、いま社民党を強化することは非常に重要と言えよう。予想される総選挙で、社民党の伸張を期すことは当面の重要課題となっている。そのような情勢下での社民党の全国大会であった。


社会民主主義を掲げ、三番目の極を目指す

 大会は大連立のもつながりうる保守「二大政党制」を強く批判し、衆議院総選挙でも与野党逆転を果たすと同時に、社民党の伸張こそ必要だと強調した(福島党首および議案)。そして選挙協力については、社民党が生き残る必要な範囲で、限定的に行うものとし、ローカルレベルから積み上げる方式を確認した(渕上選対委員長答弁)。このことは、保守的な二大政党に対し、三番目の極として、社民党自らを位置づけ、それを戦略目的化するものと言えよう。同時に、参議院選挙で、民主党に裏切られた大分でも、民主党との選挙協力を全面否定してはいない発言があったように、「連合」を間に挟んで地方では、民主党との選挙協力を行っていく意志があることが示された。
 護憲の理解については、9条護憲だけではなく25条(生存権)、26条(教育を受ける権利)、27条(労働の権利)を現実化し、地方の崩壊に対し、いのちを暮らしをまもることの積極的にいかしていくことが強調された(又市幹事長の答弁など)。選挙のアピールとして、さらに具体化されるならば、これは有効であろう。
 今回の大会の特徴として、若い代議員の発言が目立った。全国的に言えば、若い党員はまだ希少価値と言えるほど少ないのが実情であろうが、また大会の演出として若い党員の発言を意識的に求めたのであろうが、高齢化する党組織を若返らせ、次世代につないでいくためには必要なことでもあり、これをキッカケにして若手の党員が増えていくならば、歓迎すべきことであろう。
 新人事については、商業紙で様々に書かれている。それが事実か詮索するよりも、党首が全体をまとめ、執行部が団結して日本全体の政治の危機を乗り切り、衆議院選挙とその後に現われるかもしれない政界再編を乗り切ることを望みたい。