【編集後記】
●今月はまず蜂谷隆さんに2021年度政府予算案を、20年度第3次補正予算案とともに論評して頂きました。蜂谷さんに予算案をお願いしたのは初めて。予算の特徴である新型コロナ感染対策、コロナ後の景気対策(公共事業とGo To トラベル)などへの批判の視点が明解で、分かり易く、理解が深まります。
●柏井宏之さんからは昨年の臨時国会で成立した「労働者協同組合法」。働く人が自ら出資し運営に携わる「協同労働」を法制化し実現する意義深いものです。″私たちは、働き方に雇用労働しかない不自由で不思議な国に育っている”との柏井さんの指摘が強烈で、その姿が変わらねばなりません。今後の課題も指摘されています。
コロナ禍で取り組まれる今年の春闘は木庭健一さん。2%賃上げ要求の連合事情を紹介しつつ、経団連の主張する雇用(企業)防衛路線に負けない根拠としてエッシェンシャルワーカー論、宇沢弘文「社会的共通資本」論が訴えられているのが特徴かと思います。
●河辺一郎先生の今月の〈国際政治の視点〉は特別篇です。1月号の「中国の『自由化』」を読んだ読者から″もっと詳しく”と要請があり、改めてお願いしました。新疆ウイグル問題をめぐる米国議会の論議の推移に注目した中国論。そして中国の政策の背後に存在する改革開放→自由化のもつ意味合いが整理され、新たな視点が拓けます。
鎌倉孝夫先生の〈経済診断〉。命を奪うコロナ禍で、その克服へ人間の主体的意識と行動はどうあるべきか、マルクス思想からの原理と論理が展開されていますので学習を。
●藤岡寛己先生からは「もう一つの学術会議問題」。内部の不統一や大西元会長の役割など日頃余り知ることのない記述の中に学術会議の本義が訴えられて貴重です。滝澤一郎さんからの投稿。安倍政権の足跡をたどり指弾する詳細な記録で、来月に続きます。(山内正紀)
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