【編集後記】
●菅首相による日本学術会議会員候補6名の任命拒否問題。加藤陽子教授や宇野重規教授の名があり、その著書を読んでいただけにビックリしました。菅政権の本質が露われ深刻ですが、福留久大先生が明解に論点整理をして下さいました。日本国憲法第6条と日本学術会議法7条の類似。今回の任命拒否の違法性が鮮やかに示されており、読者会にピッタリです。
浅野健一先生からは、発足した菅政権批判と政権をとりまくメディアの関係。初外遊先のベトナムでの講演で、ASEANをアルゼンチンと読み間違えたとのこと、初めて知りました。菅首相の資質が伺えますが、新聞が報道しない現状も問われます。鈴木智さん、菅政権批判のダメ押しです。
河辺一郎先生の〈視点〉が取り上げたのは今年のノーベル平和賞を受賞した国連食料計画(WFP)です。国連の場で論議されてきた食料の権利。その当たり前の権利(WFP)が受賞する現状の問題点が突き出されています。
●「2050年までに、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする」とした菅首相の所信表明演説。「ストップ気候危機!自治体議員による気候非常事態・共同宣言の会」の呼びかけ人の一人である青木学新潟市議に、タイミング良く、この問題を取りあげてもらいました。これまで日本政府は、温室効果ガスを「2050 年までに80%削減」としていたのですから、今回の菅演説は、前進といえば前進なのでしょうが、やはり市民レベルからの監視・取り組みが必要です。
青木栄さんからは、新型コロナ感染が学校現場にどう影響したか、そしてどう対処したかの実践報告。熊本高教組の奮闘に元気と勇気をもらいました。
●藤岡寛己先生は、「軍人恩給」を今日の国民分断の要因と見て評論。高根英博さんの「マンガ」が好評で、とくに先月号の武田泰淳「汝の母を!」は鮮烈。私も図書館に走り、本を借りました。高根さんは、軍国日本の侵略・戦争・虐殺・加害の実相を照らし、戦後精神を審問し続けています。(山内)
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