【編集後記】
●1月28日の「経団連労使フォーラム」で、2019春季生活闘争が事実上、スタート。本誌3月号も、木庭健一さんの春闘論からスタートです。
木庭さんは、春闘の賃金決定メカニズム「賃上げ率の平準化・波及化作用」を評価し、その対極たる「個別賃金要求」への転換を企図する連合方針を批判。加えて、いま焦点の「毎月勤労統計」の不正問題を取り上げています。
そもそもこの問題を指摘したのは、木庭さんも指摘する昨年9月12日の『西日本新聞』だと思うのですが、どうして今日まで浮上しなかったのか疑問です。「統計の作成手法の変更により現金給与総額が上昇」という擬装を前にして、今年の春季生活闘争の意義が高まっています。
続いては、4月に一部施行の「働き方改革法」について小池貞二さん。その具体的内容が案内されています。なかで取り上げられている「罰則付き時間外労働の上限規制」。通常国会の施政方針演説で、安倍首相が「企業経営者の皆さん、改革のときは来ました。準備はよろしいでしょうか」と呼びかけたものですが、安倍首相には経済界を規制する覚悟はあるのでしょうか。小池さんからは、上限規制の成果面と残されている課題が整理されています。
●昨年8月に発覚した中央官庁等の障害者雇用の水増し問題。重要な問題で、本誌に取り上げたいと思っていながらできずにいましたが、今回、大牟田市議の古庄和秀さんに書いて頂いたのは幸いでした。「障害者の自立と政治参加をめざすネット」の活動とともに、今後の施策が提言されており貴重です。
古庄さんは本誌に初登場ですが、新潟大学大学院生の村田峻一さんも初登場。村田さんのテーマは、朝鮮高校授業料無償化問題で、この問題の大事さが分ります。若手登場と言えば、長野県・上田市議の石合祐太さんも30歳。2度目の挑戦で勝利した市議選と社民党をめぐる問題のレポートです。
●河辺一郎先生は、平成回顧ムードのメディアを振り返り、この半世紀の変容を描き出して鮮やか。〈チーム鎌倉〉からは谷田道治さん。昨年から小学校で道徳が「教科」になり、まもなく高校の教科・科目から「社会」の名称が消えるとのこと。そんな時代の教育をめぐる問題―道徳の過剰と人材育成の幻惑が、擬制資本をキーワードに論及されています。
静岡の市川勝弁護士。70余年の人生を貫く弁護士活動は感動的で、3人の素晴らしい女性との出会いも印象的です。室伏志畔さんの論稿は、天皇代替わりを迎えようとするなか、「今一つの改元論」と言うべきか、大和中心の皇統一元史観への反証です。(山内正紀)
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