「進歩と改革」No.807号   --2019年3月号--

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■主張 第198通常国会と問われる立憲野党の共闘強化

2019春季生活闘争に勝利し、
 腐敗極まる安倍政権を打倒しよう!             木庭 健一

「働き方改革法」4月施行と今後の課題            小池 貞二

中央省庁等における障害者雇用水増し問題と
 今後の障害者施策について                 古庄 和秀

朝鮮高校授業料無償化問題                  村田 峻一

■国際政治の視点                      河辺 一郎                 

 メディをめぐる半世紀      

◆マンガ FALSE HOOD208                   森本 清彦

 鬱苦(うつく)しい国・19
  馴らせ、慣らせ! アベノ「総馴生化慣生化スピン詐術」

〈現代秩序崩壊後の流れから見える、人類社会のあるべき方向性〉

■チーム鎌倉の〈経済診断〉                 

 道徳の過剰と人材育成の幻惑                谷田 道治
  ―擬制資本に蝕まれる社会―

地域の皆さん、仲間たちと一緒に闘って上田市議選       石合 祐太

「被爆体験者」161人全面敗訴                 前海 満広
 ―一審認定10人取り消しの不当判決―

◆高根英博作画・文 [マンガ・百年戦争物語り/第6話]

 夏淑琴の南京事件

70余年の回想記                      市川  勝

改元論の向こう側/梅原猛 追悼                室伏 志畔

◆スポーツ時評                       中森 稔博

  メンタルの強さ、技術の深さ 


【編集後記】

1月28日の「経団連労使フォーラム」で、2019春季生活闘争が事実上、スタート。本誌3月号も、木庭健一さんの春闘論からスタートです。
 木庭さんは、春闘の賃金決定メカニズム「賃上げ率の平準化・波及化作用」を評価し、その対極たる「個別賃金要求」への転換を企図する連合方針を批判。加えて、いま焦点の「毎月勤労統計」の不正問題を取り上げています。
 そもそもこの問題を指摘したのは、木庭さんも指摘する昨年9月12日の『西日本新聞』だと思うのですが、どうして今日まで浮上しなかったのか疑問です。「統計の作成手法の変更により現金給与総額が上昇」という擬装を前にして、今年の春季生活闘争の意義が高まっています。
 続いては、4月に一部施行の「働き方改革法」について小池貞二さん。その具体的内容が案内されています。なかで取り上げられている「罰則付き時間外労働の上限規制」。通常国会の施政方針演説で、安倍首相が「企業経営者の皆さん、改革のときは来ました。準備はよろしいでしょうか」と呼びかけたものですが、安倍首相には経済界を規制する覚悟はあるのでしょうか。小池さんからは、上限規制の成果面と残されている課題が整理されています。

昨年8月に発覚した中央官庁等の障害者雇用の水増し問題。重要な問題で、本誌に取り上げたいと思っていながらできずにいましたが、今回、大牟田市議の古庄和秀さんに書いて頂いたのは幸いでした。「障害者の自立と政治参加をめざすネット」の活動とともに、今後の施策が提言されており貴重です。
 古庄さんは本誌に初登場ですが、新潟大学大学院生の村田峻一さんも初登場。村田さんのテーマは、朝鮮高校授業料無償化問題で、この問題の大事さが分ります。若手登場と言えば、長野県・上田市議の石合祐太さんも30歳。2度目の挑戦で勝利した市議選と社民党をめぐる問題のレポートです。

河辺一郎先生は、平成回顧ムードのメディアを振り返り、この半世紀の変容を描き出して鮮やか。〈チーム鎌倉〉からは谷田道治さん。昨年から小学校で道徳が「教科」になり、まもなく高校の教科・科目から「社会」の名称が消えるとのこと。そんな時代の教育をめぐる問題―道徳の過剰と人材育成の幻惑が、擬制資本をキーワードに論及されています。
 静岡の市川勝弁護士。70余年の人生を貫く弁護士活動は感動的で、3人の素晴らしい女性との出会いも印象的です。室伏志畔さんの論稿は、天皇代替わりを迎えようとするなか、「今一つの改元論」と言うべきか、大和中心の皇統一元史観への反証です。(山内正紀)