【編集後記】
●入管法改正による外国人労働者受け入れ拡大について、蜂谷隆さんにお願いしました。蜂谷さんの主張は、法案は「低賃金・人権侵害の技能実習制度の単なる延長」であり、「いまは移民政策を考えるとき」というものです。
「日本はすでに移民社会になっている」との蜂谷さんの指摘に接して思い出したのは、20数年前の本誌の取材で、原水禁日本国民会議元議長で今は亡き前野良先生にインタビューした時の「日本は外国人労働者の急増によって多民族社会になっており、多民族共生の思想・社会のあり方についての構想を運動の中でつくらなければならない」との言葉でした。蜂谷さんの提起は、そこに連なっていると感じます。
河辺一郎先生からの移民労働者保護条約、柏井宏之さんからの外国人との共生・異文化交流をめざす地域実践。3つの論稿は共通して日本の政治・社会のあり方を問うものとなっています。
●福留久大先生の「憲法9条を学ぶ試み」は4回目。今回は、トルストイの〈問い〉、渡部良三の〈苦悩〉を通して「平和主義と個人の尊厳」がテーマとされ、そこから憲法9条と13条の意味と関連が問われています。この憲法13条については、これを個別自衛権の根拠とする木村草太教授の論に内田雅敏弁護士からの批判がありますが(『月刊社会民主』18年4月号)、今回の福留先生の試みを手がかりに論理が深まればと思います。
前月号の「主張」で取り上げた韓国元徴用工裁判と判決について、とくに日本のメディアの酷さを浅野健一先生が鋭く批判。中川徹さんは立憲野党の躍進を願う立場から改憲動向を追跡。
●2回に亘って齊藤誠弁護士からの松橋事件メモ。12月21日の各紙には「松橋事件 無罪確定」と大きく報道されました。有田純也さんのネット選挙論は、2度の新潟県知事選での経験を踏まえた実践的な内容。岩本正也さんからのユニオン活動あれこれ。理不尽な経営者との闘いに励まされます。県立高校非常勤講師の待遇改善をテーマとした18年4月号同様に面白いです。岩本さん、次を待ってます。(山内正紀)
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