【編集後記】
●9月30日の沖縄県知事選、開票率1%の段階で玉城デニー氏の当確が打たれ、カチャーシーを踊る玉城氏と支援者の姿がテレビ画面に溢れました。本当に良かった。辺野古新基地を許さない! 玉城勝利に胸を躍らせ元気をもらい、この11月号を校了しました。
●今月は、まず〈チーム鎌倉〉より中村健三さん。白井聡・京都精華大学専任講師の近著『国体論』の批判です。白井氏は『永続敗戦論』で著名ですが、“『永続敗戦論』を凌ぐ名著誕生”と宣伝されたこの『国体論』もなかなかの評判で、私の身近の仲間も話題にしていました。
その中の心優しい友人は、『国体論』を読みもしない私のずぼらさに呆れて、本まで貸してくれたのですが、貸し付けられた本は案外読まないもの。ほったらかしの私に、改めて突きつけられたのが中村さんの今月の論稿で、やはり評判なのが分りました。白井氏の論は「戦後日本の対米従属体制(永続敗戦レジーム)を戦前からの連続性をもつ『戦後の国体』である」と見なすもの。それでは戦前天皇制、戦後天皇制、安保体制は一体なのか。問題点を切開する中村さんは鋭く、さすがです。
●先月号で、安倍政権の外交を問わないリベラルの思想的歪みを指摘した河辺一郎先生が、今月も「安倍政権長期化の背景」として存在するリベラルの姿勢の問題を問うています。先生の「安倍は一期目に続いて二期目も短期で終わる可能性が高かった」との指摘は重いものがあると思います。
鈴木智さんの論稿で、「国民民主党は旧民社党グループ」との指摘は強烈ですが、的確なものかと思います。
●先月号に掲載した石井雅臣さんの「水俣病と私」(上)には、多くの読者から感銘、共感の声が届き、編集部としてもありがたく励まされることでした。今回(下)は、水俣病の原因企業・チッソの戦前の朝鮮での活動、ご両親の戦争体験、水俣とアジアの連帯運動、戦後の水俣の復興の歴史を取り上げ、つなぐ中から、「平和」と「差別・分断の克服」が考察されています。
●浅野健一先生からは6月12日の米朝首脳会談以降の朝鮮半島の動きの紹介とジャーナリズム批判、そして白宗元博士の講演の紹介です。白講演は今回を含めて三回に分けての掲載になります。日本と朝鮮半島の現代史を見つめる視点の大事さが学べると思います。
有田純也さんから伝わるのは五年ぶりの訪問で変貌した朝鮮の姿。今泉克己さん案内の反核活動家、ハッサン・エル・エイヤブさんの話。氏の豊かな人生観が心を打ちます。(山内正紀)
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