「進歩と改革」No.795号   --2018年3月号--

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■主張 安倍首相の施政方針演説と新たな「軍事大国」創り

■国際政治の視点・特別篇                 河辺 一郎

 近代日本とは何であったのか

北東アジアの民主主義と平和                有田 純也
 ―総選挙の結果を踏まえて―

◆マンガ FALSE HOOD195                 森本 清彦

 「鬱苦(うつく)しい国・10
  no I CANT! ウソマヤカシ&隠蔽&対北圧力行使行脚男! 

 〈何故アメリカは「第4帝国」なのか・3〉

2018春季生活闘争をめぐる情勢と課題            木庭 健一

女性と子どもも貧困が生み出した子ども食堂         宮口 高枝

2015年にむけた「改正介護保険」の課題           和田  要
 ―第7期介護保険計画が動く―

◆高根英博作画・文 [社会映画グラフティ14]

 マイケル・チミノ監督作品「ディア・ハンター」

■鎌倉孝夫の<経済診断>                 

「労働力」の商品化とはどういう事態か
 ―「働き方改革関連法案」批判の理論的根拠―

治安法とモラリズム―社会の喪失と国家の前景化       宮本 弘典

<苦難>に連帯した文化運動、勤サ協や友情と連帯運動に再評価 神村 隆志
 ―ソ・ユナさんの「韓国民主化連帯運動と文化運動」―

◆スポーツ時評                       中森 稔博      

 レジェンド2人   


【編集後記】

3月号は、河辺一郎先生の〈国際政治の視点〉特別篇からスタートです。今年は明治維新から150年。この明治以来の日本近代をどうとらえるのか、今後の日本政治・社会にとって重要な問題です。
 安倍政権の安保関連法(戦争法)強行で立憲主義の大切さが指摘され、その関連からか、板野潤治著『帝国と立憲』などの出版で、明治時代の立憲主義が注目されています。「明治以降の日本近代の歴史の中で『立憲』という旗は常に専制政治と闘い続けた人びとの旗」と主張する左翼誌にも出会いましたが、河辺先生は明治絶対立憲を批判し、「明治」がもつ意味を反近代・宗教国家・非論理性の3視点から解析。それが現代へ及ぼしている影響に言及され、この点が大事と思います。

新潟の有田純也さん紹介の韓国・慶熙大学の金民雄教授講演。本誌昨年10月号に続くもので、今回はキャンドル市民革命以後の韓国社会、発足半年の文在寅政権が、北朝鮮問題を含めて案内され、理解が深まります。金教授が強調されるのは、近代日本(民衆)の歴史認識で、神村隆志さんの論稿とも繋がるものだと思います。

春季生活闘争がスタート。連合の取り組みについて木庭健一さんにお願いしました。安倍首相の3%賃上げ「官製春闘」に対し、「賃上げ交渉は個別労使交渉に」と連合内の声。これを批判する木庭氏の主張が展開されています。
 通常国会に「働き方改革関連法案」が提出されます。鎌倉孝夫先生から、これを批判する「理論的根拠」。その肝は「労働力」商品化の理解で、働かせ改革への対抗へ原点からの学習が大切です。特に56頁からの「資本の自由とその制約―労働力商品の無理」の項には心が震えました。

東京港区で子ども食堂の活動をすすめている宮口高枝さんに寄稿をお願いしました。湯浅誠さんが「『セレブの住む街』のもう一つの顔」と、ブログに紹介されたものです。子ども食堂への理解が読者の間に共有され、取り組みが広がればと願います。
 熊本学園大学の和田要先生には、「改正介護保険」が抱える数多くの課題について分りやすくまとめて頂きました。関東学園大学の宮本弘典先生は、日本国憲法下での刑法と強化される治安管理を理論と歴史から問うもの。ニホンの刑法は戦後の始まりすら見ていない!と先生。共謀罪ができた今、ニホンの刑法が鋭く問われています。(山内正紀)