【編集後記】
●1月号です。先の総選挙で招いてしまった「痛苦なる現実」を超えていく「新たなる共同戦線」(山崎一三・12月号「主張」)へ、闘いを積み重ねていく決意です。
●今月号は、まず蜂谷隆さんのアベノミクス批判。株高や大企業収益の増大、有効求人倍率の「改善」などアベノミクスの″成果”が一方的に喧伝される中で、進む中間層の地崩れ・疲弊が住宅問題をテーマに焦点化されています。蜂谷さんの本『「強い経済」の正体 中間層再生への道を探る』(同時代社)も読んで頂ければと思います。
〈チーム鎌倉〉からは渡辺好庸さん。渡辺さんは、鎌倉孝夫先生と一緒に『「資本論」を超える資本論』(社会評論社)、『現代と朝鮮・上』(緑風出版)などの本を出されています。安倍首相が「戦後レジームの脱却」を主張する中で、その「戦後」とは何か? 我われは「戦後」なるものを安易に肯定してはならない!と、今月と来月の2回にわたって「改憲への対抗軸」が資本主義分析を伴って展開されます。
●長岡大学の兒嶋俊郎先生から頂いた論稿では、冷戦・朝鮮戦争期に米軍隷属下に発足した自衛隊とその後の再編過程が描かれています。とくに詳細に展開されているのが、核・CBR(化学・生物・放射能兵器)に関連しての動き。自衛隊の戦術核使用教育、「化学学校」「衛生学校」でのCBR教育など、ビックリです。東アジアの冷戦は終わらないばかりか、新たな朝鮮戦争の危機にある今日、大いなる教訓と警鐘を鳴らす内容となっています。兒嶋先生の論稿も来月に続きます。
増永周一さんは東アジアの平和をめざした第54回護憲集会の報告です。紹介されているシンポジウムでの和田春樹先生の提起が大事だと思います。河辺一郎先生は、国連(国際)人権問題への日本政府の対応を通じて日本社会のあり様を問うものです。
●ダボス会議を開催する世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数」(2017)で日本は144カ国中114位。過去最低だった昨年の111位を更新しました。女性運動をめぐる情勢と課題をまとめてみました。
柏井宏之さんからは、フードバンクなど反貧困の社会運動の具体的実践例と、その中から突き出される教訓が紹介され、活動に生かせるものと思います。山田俊忠さんからの「水俣条約」は、発効が8月で、本誌に取り上げるのが遅くなりましたが、歴史的にも意義あるものです。
平昌冬季オリンピックが盛り上がらないと中森稔博さん。大きな原因は北朝鮮の核・ミサイル危機。朝鮮半島に平和を!と、願います。(山内正紀)
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