【編集後記】
●共謀罪法案が衆議院で強行採決されました。今月号は、この共謀罪法案への批判を宮本弘典先生にお願いしました。題して「共謀罪のポスト・ツゥルース」。
ポスト・ツゥルース:オックスフォード英和辞典が、昨年を象徴する言葉として選びました。流行語大賞みたいなものと言ったら失礼でしょうか。インターネットで発見した『知恵蔵』には「世論形成において、客観的な事実より、虚偽であっても個人の感情に訴えるものの方が強い影響力を持つ状況。事実を軽視する社会。直訳すると『脱・真実』」とありました。宮本先生は、刑法・刑法史がご専門で、刑法の正義と公共性を検証する視点から、鋭く共謀罪の虚偽を暴き出されています。参議院での廃案にむけ生かして下さい。
●河辺先生からは、共謀罪が必要との理由にされている国際組織犯罪防止法案に関連して、国連の場における日本政府の欺瞞が追求されており、安倍批判に役立ちます。安倍政権によって「蘇る亡霊」と元毎日新聞論説委員の矢倉久泰さん。教育勅語をめぐる問題がトータルに論及され、批判されています。
韓国大統領選の開票当日、新潟の渡辺英明、有田純也両氏が韓国を訪問。渡辺さんよりムン氏勝利に湧く現地のホットな原稿が届きました。鎌倉先生は、5月号をうけての論稿ですが、加えてトランプ政権の「戦争の危機演出策」の本質が鋭く分析されています。
●作家・佐木隆三氏の小説『復讐するは我にあり』は、五人を殺害した西口彰事件(1963〜64年)を題材にしています。映画にもなり、緒方拳が主演しました。西口逮捕のきっかけとなったのが、熊本県玉名市の冤罪事件防止に取り組む教戒師・古川泰龍氏宅(後に生命山シュバイツァー寺開山)を、弁護士を装って殺害目的で訪問したことでした。泰龍氏が取り組んでいたのが福岡事件で、西武雄、石井健治郎の2氏が死刑判決を受けた事件の雪冤でした。西氏は冤罪を晴らせぬままに死刑執行。泰龍氏の戦いはシュバイツァー寺の皆さんに受け継がれています。事件から70年の今年の再審キャンペーン「私はわらじがぬがれない」を、古川龍樹氏に書いて頂きました。
「憲法70歳おめでとう」と志岐玲子さん。仲本友三さんからは、戦後72年・復帰45年の沖縄への強い想いが伝わってきます。増永周一さんの白井聡講演の紹介、面白いです。
●森本清彦さんのマンガ「FALSE HOOD」は今月号で186・187回を数えました。途中に掲載の「MILLENNIUM」12回を合わせて200回。スゴイです。益々の風刺をお願いします。(山内正紀)
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