【編集後記】
●野田首相の「近いうち」解散の行方が不透明になる中での12月号の編集となりました。
今月号は、まず今年1月、オバマ政権によって発表された「新国防戦略」指針。取り上げるのが遅くなりましたが、今回、NPOピースデポの田巻一彦さんにご寄稿いただきました。田巻さんは、指針の中に示された「全政府アプローチ」という概念に注目され、その危うさも指摘されつつ、そこに「外交によって軍を代替する」可能性があることに注目され、日本の平和運動の転換を提起されています。
オバマ氏が再選をめざす米国大統領選投票は11月6日ですが、8月末から訪米され、三週間滞在された福留久大先生が、大統領選の争点である医療・医療保険問題を取り上げて下さいました。米国の貧困の現状、そして「ヘルスケア」「メディケア」についての理解が深まります。
●浅野健一先生からは、チェルノブイリ原発視察の報告です。文中にある「作業員一人の亡骸をいまも収容できていない」事故の現実、被曝で「ミイラみたいになった」死体、「日本政府の情報隠しはソ連共産党、KGB以下だ」との指摘の紹介などなど、まさに深刻で考えさせられる内容です。
鳴海洽一郎さんからは、昨年9月号に続く提起です。野田内閣の「原発ゼロ方針」のまやかし、電力自由化が、論じられています。
●柏井宏之さんの論稿は、韓国のドウレ協同組合を紹介し、原点である草の根共同体主義を焦点化させています。そして、共同体主義から照射して国家主義を撃つものとなっていますが、共同体主義と市民社会論の関連を含めて論議の深まりが期待されます。(山内正紀)
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