【編集後記】
●3月19日の『読売新聞』。“憲法改正「賛成」54%≠ニいう見出しで世論調査が載りました。昨年9月調査から改憲論が何と11ポイントも上昇しています。9条の明文改正は賛否ともに39%で、二院制見直しなどで改憲派が増えたとのこと。何らかの操作があるのかも知れませんが、5月の憲法月間での取り組み強化を迫っています。
今月は、まず高田健さんに「憲法」を取り上げていただきました。大震災・原発の被災者を始め、いま憲法25条の生存権保障が問われているにも関わらず、国会では憲法審査会が始動し、そこで論議されているのは「非常事態条項」です。何と真逆なことか! 改憲新党の跋扈を含め、大震災の陰で進む改憲策動が鋭く批判されています。
●先の『読売新聞』では、改憲論が高まった理由として、ねじれ国会で「決められない政治」への国民の不満があると評論されています。そうした中で注目を集めているのが、憲法九条大嫌いな橋下大阪市長の「維新の会」です。「維新の会」が勝利した府・市ダブル選挙とその後の危険な動きを大阪の宮原光一さんに書いていただきました。同じ自治体首長である河村名古屋市長が“なかった”とした南京事件。これは河辺先生が取り上げて下さいました。
●「ショック・ドクトリン」とは、カナダ人ジャーナリストであるナオミ・クライン氏の著書の名です。その意味するところは、「大惨事につけこんで実施される過激な市場原理主義改革=惨事便乗型資本主義」のことですが、高田さんの論考にも、東日本大震災を利用した改憲へのショック・ドクトリンが触れられています。本誌1月号の福島みずほ社民党党首へのインタビューにも、このショック・ドクトリンが指摘されていました。
今回、鎌倉先生が詳細に紹介して下さいました。先生が「すごい本です」とされ、「『ショック・ドクトリン』のショック」とまで表現されるこの本を基に、先生の補足・補強をふくめて日本へも導入されている現実が分析されています。まさにショックです。
●3・11から1年が経ちましたが、今月は原発問題につき、鈴木さん、武本さん、佐々木さん、矢内さんの四氏から原稿が届きました。柏井さんのホームレス支援の法延長問題、木村さんのTPPをめぐる提起も注目です。また、「FALSE HOOD」ではアフガンが、「闘う仏教」では日本の禅が、「映画評論」ではニーチェが、「スポーツ時評」ではダルビッシュがと、広く多彩なテーマが取り上げられていますので、読者の皆さんの間で話題にして下さればと願っています。(山内正紀)
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