「進歩と改革」No.717号   --2011年9月号--

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■主張 狭山事件の再審を実現しよう!

メルトダウンする政治と社民主義者の課題          山崎 一三

■鎌倉孝夫の〈経済診断〉分析篇
原子力の平和利用という虚構―脱原発の実現をめざして(2)―

◆高根 英博 作画・文・構成[戦後精神とは何だったか?]9
 丸山真男

福島原発事故と電気事業のあり方を考える          鳴海洽一郎

■国際政治の視点 米国保守派の躍進と国連         河辺 一郎

◆マンガ CROSS-EYES 114「明日なき世界6」
原発再開ヤラセ&ゴリン押し男、etc           森本 清彦

大震災下における今春闘、その残された課題         野尻 和夫

◆映画評論「デンデラ」―老後を「戦場」にするな      深海 峯介

「障害のある人もない人も共に生きる熊本づくり条例」を可決 平野みどり
―熊本県での条例づくりの取り組みを振り返って―

障碍者制度改革と政権交代(9)               栗川  治
―その「革命」的転換と今後の展望―

TPPは日本にもアジアにも要らない            木村  毅

●スポーツ時評 女子力は侮れない             中森 稔博

【編集後記】

本誌(9月号)が読者に届くのはお盆過ぎでしょうか。菅内閣の退陣に関連して、新聞・雑誌では「政局は8月お盆前後から下旬にかけて最大のヤマ場を迎える」と指摘されています。菅首相の脱原発の姿勢にも関らず、国民の政権への視線は冷たく、支持率は1割台。福島第1原発はいまだ安定冷却せずに心配されますが、政権はすでに冷却状態に陥っているようです。ポスト菅の政治の行方も心配です。

脱原発の新しい政治をめざす私たちに問われるものは何か。山崎一三さんに社会民主主義者の課題について書いていただきました。論稿の中では、再生可能エネルギー法案成立や「さようなら原発1000万人アクション」の意義、社会民主主義のエコロジー的改革などの大事な課題が提起されています。これらの活動を通じて、社民党の再生へと結びつけたいものです。
 なお冒頭に触れられている日本政治における「無責任の体系」。丸山真男氏の思想ですが、その丸山氏を高根英博さんが取り上げて下さり、グッドタイミングでした。

鎌倉孝夫先生は、7月号に続いて「脱原発の実現をめざして」で、今回のテーマは「原子力の平和利用という虚構」。先生からは「日本における原発導入、実用化の過程を、日米関係を軸として明らかにし、原発が原爆(核兵器)と切り離せないこと、そしていま核兵器保有しかないという考えさえ台頭していることを明らかにする」とのFAXが届きました。「脱原発は核兵器廃絶と結びついている」という本質を受けとめていかねばなりません。 
 鳴海洽一郎さんからは、脱原発へ電気事業のあり方について。自然エネルギーなど代替電源、発送電分離・自由化をとってみても政策的に整理すべき問題は多くありそうです。この問題は論点も幅広く重要であり、今後も誌上で活発な議論が展開されることを願っています。春闘総括は野尻さんから。

栗川治さんの連載「障碍者制度改革と政権交代」は9回目を迎えました。この間の府省ヒアリングの検証など、 その丹念な整理と記述には感心させられます。今月は、栗川さんの連載に応える熊本からの原稿が届きました。県議会議員の平野みどりさんの「障害のある人もない人も共に生きる熊本づくり条例」可決の取り組みです。千葉県に続く差別禁止条例の制定までには至りませんでしたが、熊本の条例可決へ向けた四年にわたるすばらしい活動を是非お読み下さい。
 まだまだ暑い日が続きます。皆さん、お体に十分ご留意下さい。そして、誌の拡大も宜しくお願いします(山内)