【編集後記】
●8月号をお届けします。今月も、原発問題をめぐる論稿が揃いました。
福留先生のタイトルは「脱核発電の必要と可能」です。「原子力発電」ではなくて「核発電」! なるほどな、分かりやすいなと、新鮮な感覚になりました。文中では「原発」の言葉が使われていますが、先生の論は、核分裂の構造に始まり、「脱核発電」へむけた基礎的理解を深める絶好の内容となっています。
8月は原水禁の季節。今年の世界大会は、原発事故を受けて、広島・長崎だけではなくて、福島・沖縄でも開催されるとのこと。それら大会の意義と課題を井上年弘さんが提起して下さいました。
●武本さんからは、先月号の「停電問題」に続いて今回は「汚染問題」で、4次にわたる福島第1原発周辺の放射能測定に裏打ちされた主張です。武本さんは、長年「原発反対仮羽村を守る会」の活動を担われていますが、同じ新潟の県平和運動センターの活動もなかなかのもの。現在開催中の10回にわたる「脱原発・連続講座」について有田純也さん。新潟水俣病問題の解決・全被害者の救済に尽力し続けておられる高野秀男さんに、新潟訴訟の和解を受けて、今後の課題を書いていただきました。人として認めよ! フクシマにミナマタの教訓を活かそう!との提起を受け止めたいものです。
●東日本大震災と福島原発事故を考える際、欠かせないのが米軍の「トモダチ作戦」と自衛隊の問題です。川辺先生が指摘されるように、日米は歴史認識や理念を共有し得ているのかという問いも根底に横たわっています。
被災地の皆さんが救援にあたる自衛隊・米軍に感謝するのは自然な感情だと思いますが、この作戦の本来の狙いはどこにあるのか? 許すな!憲法改悪・市民連絡会の高田健さんにお願いしたところ、作戦の内容を詳しく紹介し、問題点を鋭く指摘して下さいました。文中の最後に「河北新報」の社説が紹介されています。国策に翻弄され続けた「東北」と「沖縄」の類似。沖縄の反基地闘争から起こった「米軍への思いやり予算を凍結し、被災地支援に充てよ」との署名行動。共助の精神の大事さ。これらは井上、高野さんの提起とも重なり合って、響きます。
●神田の書店をぶらついていた時に見つけた『鈴木茂三郎』。これは是非本誌に取り上げたい、取り上げてもらうのは曽我さんしかいない、というわけで、書評をお願いしました。著者の佐藤信氏は何と23才の若者。これは驚きでした。本の内容も私など知らないことばかりで、お薦めです。(山内正紀)
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