「進歩と改革」No.706号   --2010年10月号--

前号へ 2009年度一覧へ

■主張 日朝関係改善・国交正常化の秋へ

韓国併合100年と菅首相談話              石坂 浩一

■国際政治の視点 「文化財の返還」            河辺 一郎

◆作画・文・構成―高根 英博[分裂するイメージ8]
李承晩・朴正熙の弾圧/在日からの問いかけ1・2

被爆65周年原水禁世界大会を振り返って         井上 年弘
―原水禁大会をとりまく情勢と課題 

◆深海峯介の[映画評論]
倉内均脚本・監督[日本のいちばん長い夏]

成長から成熟への転形-2010年経済随想           福留 久大

◆マンガ 「打開策なら、またぞろ戦争でも・・」       森本 清彦
(グローバル・ハンドラー)   

「みんなの党」とは何者か                尾崎 康平

「鳩山・菅政権」と「社民党連立離脱」を読む          若林 一平

編集五十年(18)                   松本 弘也

農業者戸別補償の現状と課題               里見 洋介

有機農業再考論(12)                 西村 和雄

プラザ合意二十五年                   木村  毅
―怠れば歴史の仕返しを受けていく(下)

●スポーツ時評 今こそ中興のとき            中森 稔博

【編集後記】

猛暑、酷暑、炎暑、残暑と、今年の夏にはしっかり体を痛めつけられました。予定通りに9月1日に校了した10月号。読者の皆さんに届く頃には、少しは過ごしやすくなっているのでしょうか。お見舞い申し上げます。

さて、9月民主党代表選への小沢一郎氏の突然の立候補表明。政治の世界では、秋も暑くなりそうです。追い込まれたのは菅直人首相と仙谷由人官房長官でしょうか。その仙谷長官の主導で、菅首相の韓国併合100年談話が発表されました。急遽、石坂浩一先生にお願いしました。談話発表時には、立教大学の学生の韓国語研修のために韓国に滞在されていた石坂先生ですが、帰国後に日本の報道の少なさとの落差を感じたとのことです。

菅首相の談話で、韓国併合の時代に日帝が奪った朝鮮王朝儀軌などの図書を韓国へ「お渡ししたい」とされました。朝鮮王朝は、国や朝廷内で起きた行事を絵や文章で記録しました。それが儀軌で、記録する部署は図画署(トファソ)。いまNHK・BS2で韓国の歴史ドラマ「イ・サン」が放映されています。私も毎週、楽しみにしている李氏朝鮮第22代国王・正祖をめぐるドラマですが、正祖の幼なじみで、後に側室となるヒロインが活躍する場がその図画署です。奪った文化財を返還することは、国連で長らく議論されてきたとのことで、返還に背を向けてきたこの間の日本政府・外務省の姿勢と今後が改めて問われています。河辺一郎先生の「国際政治の視点」がタイムリーにとりあげて下さいました。

原水禁日本国民会議の井上さんからは被爆65周年世界大会の報告とともに、秋期以降の闘いの課題を具体的に提起いただいています。特に、日印原子力協定についてご注目下さい。
 福留先生の50年前の約束の地・甑島訪問。甑島とお住いの福岡から見えてくる日本経済への随想を「成長から成熟への転形」との視点でまとめていただきました。先生の提起の根底にあるのは経済成長=過剰富裕化と地球環境・人類生存の関係性です。

「早く公務員の生首が切れるように法改正を!」。みんなの党の江田憲司氏の国会質問です。先の参院選で躍進した「みんなの党とは何者か」。共産党の小池氏に松田氏が競り勝った東京選挙区の闘いを踏まえ尾崎康平氏に書いていただきました。面白く、分析もしっかりした内容豊富なものになっていると思います。それにしても、この党の人びとのいい加減さ。こんな党にどうして人権派・川田龍平氏が参加したのか、いまだに疑問です。(山内正紀)