【編集後記】
●小沢氏秘書逮捕が意味するものは何か、いま国民が求めているものは何か、社会民主主義の方向を支持している者は何をしなければならないか――それを明らかにしようとするのが山崎一三氏の「この政治局面の本質は何か」です。
この政治局面の経済的背景について重要な観点を提供しているのが、福留久大氏の「富裕と貧困の対極構造」です。
そして朝鮮の飛翔体打上げという国際的観点から日本の現実の歪みを照射するのが、浅野健一氏の「朝鮮の飛翔体打上げ、『ミサイル発射』捏造で、軍拡煽るメディアの犯罪」と河辺一郎氏の「国際政治の視点」。編集部としては、重要な文章を並べることができたと思っています。
●そして地方政治から全国的にも影響があると思うのが二つ。まず「WTC移転の否決と橋下・大阪府政」の小沢福子大阪府議の談話。大阪にいると、テレビと新聞が、「これでもか」といわんばかりに連日、橋下府知事の記事を写真入で掲載。もうあの顔はいいよと言いたくなるのですが、小沢さんはポイントをついた批判ながら冷静。橋下さんキャーとどうレベルの反発ではダメよと編集部もたしなめられた感じ。続いて7月12日投票の東京都議選、社民党の候補者が少ないのがいささか淋しいのですが、重要な意義を持つことに変りはありません。
●そして労働運動。野尻和夫氏の「09春闘が残した課題」は、惨敗した春闘について、企業別労働組合の弱点が出たとしつつも、企業別の限界を補う具体的提案がされていることが重要かと思います。企業別だからダメだと言っても、それだけではどうにもならないわけで、具体的にできることの提起が必要です。太田さんの春闘方式にしても、「怖い夜道はお手々つないで」と、企業別労組を立ちあがらせたことが大きかったと思います。総評の全盛期でも企業別は否定されながら克服できませんでした。ましていまの連合ではと思いつつ、長い克服の道のりを考える必要があるでしょう。教研集会について、滋賀の小坂さんから寄稿をいただきました。教研集会の実態がこれほどになっているとは知りませんでした。主催者側にも言い分はあるかと思いますが、これも大きな努力が要りそうです。
●市岡民雄氏の「労働運動――韓国の現状と日韓共通の課題」。野尻氏もアジアを中心に春闘の国際化を課題にあげるなかで、お隣りの国との連携を考える上でもお読みいただきたいと思います。
新しい寄稿者からの原稿が二本。平木雅己氏の「ワークライフバランス実現のために」と、石原健二氏の「企業の農地全面参入と農地の土地商品化」です。労働政策、農業政策の重要な問題として、もちろん生活に直結する問題です。
●原稿が多くて、長い原稿もあり、増頁しても編集子の「編集50年」は入りませんでした。読んでいただいている読者がおられることはわかっているのですが、他の原稿を排除するわけにはいきません。「ありのままに伝える戦争体験」は今号で完結。断続的な掲載で興をそがれたかと思います。申し訳ありませんでした。(松本)
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