【編集後記】
●今月は断末魔の麻生政権に代るべき連立政権と社民党について「主張」でとりあげ、オバマ大統領登場と新しい国際情勢についてとりあげました。
連立政権と社民党についてはお読みいただくとして、オバマ大統領登場と国際情勢についてはまず柴山健太郎氏。まず総論的な短い解説のあと、『フォーリンアフェアーズ』のハース、インディークの共同論文の抄訳。当然のことながらアメリカから見た国際情勢の分析なので、日本中心の見方になれた人にはややとりつきにくいかも知れませんが、イラン問題について、アメリカが直接交渉で政治解決すべきというのが文の中心で、それが中近東や中ロまで含めて好影響を及ぼすというのが論旨。
●二本目は田巻一彦氏の「なぜ急ぐ『自衛隊ソマリア沖派遣』」。海賊問題というのは、かつてマラッカ海峡の問題があったものの、もう大分前のことなので、そもそも海賊とは、から始め、政府がなぜ自衛隊派遣を急ぐのか、それは脱法行為である。東南アジアの海賊は日本を始めとする国際協力で減少し、ソマリアも国際協力が動き出しているのに、急ぐ背景にはアメリカの意向があるのではないか、と。
●三本目は、鳴海洽一郎氏のヒラリー・クリントン国務長官のアジア歴訪と米朝関係。いうまでもなく朝鮮半島は日本にとってあまりにも身近な関係ですが、日本政府とメディアが拉致問題を利用して感情的に扱っているため、一般にはわかりにくい問題になってしまっています。交渉再開の基礎をブッシュの敵視政策の延長上におくのか、前のクリントン民主党政権の到達点から始めるのか、後者の方が前向きであり、その可能性について探っています。
日本の国家外交や対米関係について冷静に解説していただいてきた河辺一郎氏が、「国際政治の視点」について、新たに連載を始めていただくことになり、今号は連載開始にあたっての言葉。今後をご期待下さい。
●鎌倉圭悟氏のマンガが復活しました。ニコニコ動画やWEB活用のススメ。懲りずに紹介を続けてほしいと思います。
山崎一三氏の「文民統制は民主主義のバロメーターだ」は田母神論文がつきつけたものから発して、旧軍の体質から引継ぐ危険性について警鐘を鳴らします。それは文民統制を形がい化させ、「軍の独立」を再現しようとする野望に現われています。
●福留先生の「定額給付金と徴税体制」は、予算案が強行採決されたら終りではなく、そのあと配布に伴う地方議会の議決が必要なことを見通した内容です。そのことを考えると、手議員3分の2を使って押し通すやり方と、単純に反対だけでよかったのか、2月号の「租税改革の現状と課題」から続く問題も追求されています。税金のことについては政治家には公金を扱うモラルが求められていると同時に市民にも納税者の自覚がさらに必要なようです。
鎌田明彦さんの「裁判員制度への批判的論点と修正意見」は修正意見の立場、社民党の見解も資料として。(松本)
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