【編集後記】
●今月は「主張」でガサ問題をとりあげ、集める文章としては、前号に引続き、“派遣切り”など失業雇用問題が中心となりました。
まず社民党緊急雇用医療対策本部事務局長の近藤正道参議院議員に取材、非正規労働問題の発生と、これに対するとりくみの経過、取材時点での状況と当面の対策、抜本的な対策の方向、さらにピンチはチャンスとオバマ大統領のグリーンニューディールに呼応する包括的なヒューマンニューディール政策の方向を提起、これは今後、総選挙にむけても社民党の政策基調になるのではないかと思われる重要な提起と思われます。
●続いて「2009年度政府予算案の特徴と問題点」。社民党政策審議会事務局長の横田昌三氏です。ヒューマンニューディールの展開のためにも、また今後の国会論議の報道を読み、地域での運動の前提としても把握しておきたい内容です。
第3弾は「鎌倉孝夫の経済診断」。金融バブルがはじけて影響が実体経済に及び働く者の生活や農業を犠牲にした輸出依存の構造が問われるに至っていることをデータを基に実証し、麻生政権の経済危機対策がデタラメであること、オバマ政権の危機対策の制約条件を3点にわたって指摘、働く者の立場からの課題のポイントを指摘します。
●第4、第5弾はその働く者のとりくみの実践的レポートとして、牧野苓子さんの非正規雇用フォーラム福岡のとりくみと、
大分ふれあいユニオンの小野博文さんから。牧野さんからは行政への申入れ、懇談、若者の自立・就労支援、トヨタの社員住宅へのチラシ入れ、炊き出し活動への参加、働く女性の二人に一人が非正規であることから女性労働としての観点からのとりくみの必要性などが述べられ、小野さんからは大分県での非正規労働の実態、キャノンの派遣切りに対する抗議行動、ふれあいユニオンのとりくみなどが力強く紹介されています。
●第6弾とも言えるのが、柏井宏之氏の「現代の友愛と賀川豊彦の社会運動百年」です。年末年始の派遣村の助け合いに触発されながら、賀川豊彦の社会運動百年を記念事業と結びつけ、副題のように「国家に吸収されない市民社会」づくりへと展開します。具体的に正確に紹介すると長くなりますので止めますが、地域や職場での運動で活用できる考えが含まれていると思います。「複数主義の価値観」は編集子の編集にあたっての複眼の視点への思いにも通じるようです。
●笠原一之氏の「イスラム文化に触れる旅」は、イスラム→宗教的民族的原理主義→テロ、憎悪と報復の連鎖というアメリカ仕立てのマスメディアの情報の洪水の中で、島国の高齢者? が通じる言葉を探しながらの人間的交流の実感の記録。氏は地元で地域社会のふれあいのサークルにも取り組んでいて、その原稿化もお願いしています。
今月も原稿があふれました。映画と本の紹介、「ありのままに伝える私の戦争体験」、「編集50年」などは先送りせざるをえませんでした。しかし、だからと言って、地域からの発信を遠慮されませんように。ガンガン送稿して下さい。(松本)
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