【編集後記】
●安倍が「敵前逃亡」し、福田総理となりました。交代の背景と意味、そして今後を渕上さんに伺い、『主張』でもとりあげました。「主張」もかなりキツイ調子で書きましたが、ここでは福田さんの人物像をどう描くか、ガードが固く、失言の少ない慎重居士のように見えますが、集団レイプ事件をめぐるオフレコ発言というのが伝えられています。女性が「裸のような格好をしているのが悪い」「男は黒ヒョウなんだから情状酌量ってこともある」と。福田さんの顔形に黒ヒョウのダブらせてみましょう。案外ピッタリじゃないかな、獲物を狙う目が老いて狡猾そうな黒ヒョウ?
●マジメな話に戻りましょう。田巻一彦氏に9月号の米軍再編に続く集団自衛権についてお願いしました。いま問題のテロ特措法について、国連決議による法的根拠を糾し、ピースデボの調査に基いて、インド洋での給油活動が法の範囲をこえて米軍の対イラク戦に使われている実態を追求します。渕上さんの憲法に基く平和貢献と一致する論旨でもあります。
河辺先生に安倍外交について特に対米・対アジアの姿勢をお願いしていました。先生が書かれているように安倍が消えてしまったのですが、自民党の右傾化、論壇をバッコする右翼学者、最大の発行部数を有する読売新聞の論調などを考えると書かれた内容にはこれからも重要と思います。安倍前首相は「価値観を共有する」日米豪などと言っていましたが、日本の右派とアメリカの保守は歴史認識が全く異り、日本右派の主張は全く通用するものではないことが整理され、日本外交がいかにピンチか明らかにされます。
●鎌倉孝夫先生の「経済診断」。今回はバブル化する中国経済、急成長を続ける中国経済が孕む矛盾にメスを入れます。内容は不正確に要約するより本文を読んでいただきたいのですが、日本にとってもいまや中国はアメリカ以上の比重を持ちつつありますので、細心の注意で見ていく必要があります。
鳴海洽一郎氏の「報道されない6者協議進展の意義」――日本のマスコミは朝鮮の核完全放棄と拉致問題だけに関心を集中させていますが、進展の影響はそれだけにとどまらず、米朝、日朝関係の過去にさかのぼって洗出され、東アジアの新しい関係構築に向かっていくだろうとの観点が示されています。河辺先生の文章もそうですが、日本人の国際認識の立ち遅れの回復が急がれます。
●米山昇さんの「まだまだ変わる中国」は、若いころアメリカと中国に留学した米山さんが、20年ぶりに留学していた済南市を訪ねる話。巨大な隣国を理解するには様々な角度からアプローチする必要があると思います。その意味で貴重な中国再見録です。
「大阪教育大附属小の事件から6年・何が川瀬さんを死なせたか」は、子どもたちに慕われた川瀬先生が誘拐未遂容疑で逮捕され、教職も懲戒免職になり、不服申立中に留置場で自殺? してしまった件。大阪教育大附属小の事件から監視社会化がつよまる地域で、本人の名誉回復のために立ち上がった運動の記録です。第1回分は記事輻輳のため予定の半分しか入りませんでした。すみません。(松本)
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