【編集後記】
●内閣支持率がデッドラインを割りつつある安倍内閣の悪あがきで参議院選挙が1週間延期されました。初めからわかっていれば、今号は前号に続き、選挙を意識した政治的アピールを入れられたのですが、変更するには間にあわず、辛うじて「主張」でとりあげました。続いて次号も選挙の結果をふまえた文章は日程的に入れられず、書き手も選挙運動にとられたままという苦境が2カ月も続きます。
編集子の地元の集会で、辻元清美代議士が言っていました。「(追い込まれた)安倍さんは参議院選挙では生命がけでやってくる。こっちも生命がけでやらなければ負ける」と。読者のみなさんもがんばって下さい。
その安倍首相、従軍慰安婦問題で米議会に謝罪を要求する決議をつきつけられました。しかし安倍首相は4月の訪米したときの態度表明で終り、謝罪はしないと開き直っています。読売社説は米議会の「誤解」の根元を絶て、そして河野談話の見直しまで要求しています。国際的には全く通用しない右翼的な偏見が政権、一部言論機関を占領し、日本国内に深刻な亀裂を生じさせています。参議院選挙では有権者がしっかりした選択を示さなければなりません。
●さて今号。鎌倉孝夫氏の安倍政権の財政政策の批判は前号の続きですが、特に教育・地域破壊を重点に展開。財界を中心に、一部の利益のために後の世代に破壊のツケを残す酷い政策にメスを入れます。
柴山健太郎氏にはフランスの大統領選挙と総選挙の結果をとりあげていただく予定でしたが、ご親戚に不幸があり、急遽、『シュピーゲル』紙に載った東アジアに関する論文の紹介に変更、しかし大変に興味深い指摘に富んでいます。
3ヵ月ぶりに鎌倉圭悟氏のマンガ。松岡農水相の「自殺」についてコワイ推理。ネットカフェに寝泊りする若者の不満に社民党の政策が及んでいるかという指摘も。これも重要。
浅野健一氏の「無罪ラッシュとマスコミ犯罪報道」。前半は自白に頼る検察・警察の問題、後半はそれを報じるマスメディアの体質の問題。これも重要な問題です。キーワードは人権。
洪祥進氏の「関東大震災〜朝鮮人虐殺と日本の現状」は、03年の日弁連の勧告から始めて、虐殺の責任の所在を追及。今日の危険な風潮を照射します。
●西村さんの有機農業新世紀で思い出したことがあります。編集子がまだ学生のころ、早慶戦の応援で、学生席の全員が座ったまま両手をあげ、「ワ・セ・ダ」と手首から先を3回前に倒し、次に3回左に倒し、最後に3回右に倒し、それをくり返します。離れて見ると、稲穂が風にゆれているようで、キレイでした。あんなキレイな応援はなくなったな、と惜しい気がするのですが、西村さんの文章で、稲穂が風にゆれる水田そのものが希少になっているようです。戦後10数年までは秋、旅に出ると、どこでも見られた情景でしたが、これでは学生が気づかないはずです。それでも「ご飯」を食べられるのはなぜ? 西村さんの文章をお読みください。藤田先生の文章も読み落としなく。(松本)
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