【編集後記】
●今号は参議院選挙にむけて「日本の危機と対策」です。小泉・安倍内閣で、日本はメチャクチャにされてしまいました。現在も進行中です。わかっている人にはわかっているのでしょうが、自公政権がなお続いているということは、反対を向いている人とだまされている人、無関心な人が多いということでしょう。本誌の読者はわかっている人が多いのでしょうが、その人々が参議院選挙で訴える材料になれば、というのが今回の特集の狙いです。
もちろんほかにも取り上げるべき分野はあり、たとえば中小企業とか、文化の問題など落とすと叱られそうなものはたくさんあると思います。国や自治体が進める公共サービスの民営化・切捨て(営利企業化)にどう対抗するのか、市民自身による公共圏の創出の課題もあるでしょう。それらについては、編集上の宿題にしておきたいと思います。
●特集以外では、統一自治体選挙後半戦の特徴を衣笠先生にお願いしました。「平成の大合併」が、身近なはずの自治体の選挙をいかに住民から遠いものにしているか、結果の数字をもって明らかにされています。これも「日本の危機」のうちに入るかもしれません。
森本さんのマンガは、安倍首相が「国民投票法」というケーキを切り分けて「私は少食のタチでね」と言っています。最低投票率の規定がなく少数で会見が成立してしまうことを批判、公務員は縛られ、御用メディアはお祝いをしているようです。これも「日本の危機」。笑っていいようでいけないようなマンガです。
●「座談会・臨界事故隠し事件をめぐって」(続)では、電力会社も官庁も、エリートが現場を知らず、いかに無責任か、このままでは巨大事故が起きるまで国民もまかせきりで、ことの重大性に気づかないのではないかと言われています。北陸電力の事故後、中立的専門的な研究者に事実認定を依頼したと言いながら、その研究者はゴリゴリの推進派だったと、これはその他の諮問機関などにも言えそうですが、中立的な専門家というのがいかに権力や営利に都合よく使われているか、これも「日本の危機」と言えそう。
「ダカールラリー・イスラム文化にふれる旅」は西アフリカの朝の寒さに震えながら、遂にラリー参加の一行と出会う笠原さんの旅行記。写真も楽しんでくださいネ。
●山中さんの「ありのままに伝える戦争体験」は敗戦後の収容所生活。現役兵と補充兵、複雑な兵制のなかで、敗戦後の収容所にまでその差別意識が持ち込まれ、古参兵の不正を見過ごさなかった補充兵が自殺に追い込まれた例が語られます。戦争中は(戦後も)たくさんあっただろうな、と思われ、ドンパチだけでなく、そうしたことこそ戦争なのだと思われます。しかし、今も形を変えて私たちの社会のなかにあるのではと思い、そんなことを無視して「美しい国」を語る戦犯三代目には顔を見るたびにムカムカくる毎日です。
中森さんの「スポーツ時評」、今回は実況アナウンサーの育成を急げという話。語彙も乏しく、絶叫するだけのスポーツ放送を聴くと、同感の至り。しかし教育できる人がどれだけいる? (松本)
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